フェータルなエラー(あんたそれでもプロか)

このブログで仕事上の愚痴はなるべく書かないようにしている。書くとしてもおもしろおかしく書くようにしている。
しかし今日ばかりは,文字どおりの愚痴を書かせてもらう。

「あんた,それでもプロか」と叫びたくなるようなミスをする同業者がいる。
行政処分(例えば文書公開請求に対する首長の不開示処分)に対する不服審査請求期間は行政不服審査法上「処分を知った日の翌日から60日以内」と定められている。

http://search.yahoo.co.jp/search?fr=slv1-adbe&p=%a3%b6%a3%b0%c6%fc%b0%ca%c6%e2%a1%a1%b9%d4%c0%af%c9%d4%c9%fe

http://www.city.koga.fukuoka.jp/cityhall/reiki/reiki_honbun/q0250688001.html

不服申立てについて〉
この処分に不服がある場合には、この処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に、古賀市長に対して【異議申立て・審査請求】をすることができます。ただし、この処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内であっても、この処分の日の翌日から起算して1年を経過すると【異議申立て・審査請求】をすることができなくなります。
取消訴訟について〉
この処分については、この処分があったことを知った日の翌日から起算して6箇月以内に、古賀市を被告として(訴訟において古賀市を代表する者は、古賀市長となります。)、処分の取消しの訴えを提起することができます。ただし、この処分があったことを知った日の翌日から起算して6箇月以内であっても、この処分の日の翌日から起算して1年を経過すると処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。
なお、【異議申立て・審査請求】をした場合には、当該【異議申立て・審査請求】に対する【決定・裁決】があったことを知った日の翌日から起算して6箇月以内に、処分の取消しの訴えを提起することができます。

ある事件の処理で,トンでもないミスをやらかした同業者を知っている。
上記60日以内の「始期」は昨年の12月24日であった。当該同業者は「2月23日が期限である」と思いこんで,その前日の22日にようやく審査請求書を起案した(同日,郵送提出するつもりだった様子)。
「先生,12月24日から指折り60日を数えてみてくださいね」と忠告したところ,当該同業者は顔色を変えた。
そうなのだ。「指折り数えてみる」と2月21日が期限なのだね。
「私は,期間制限がある仕事では2-3回指を折って最終期限を確かめていますよ。一応一番保守的に初日算入・終日不算入で数えていますよ。そのうえで,アウトルック2003の「<予定表>に○○の仕事最終期限日。期限死守! 絶対に前日に郵送提出!」と打ち込んでおきます。例えば被疑者の勾留満期日はいつかとか,即時抗告の期限とか・・・。期限応答日が祝祭日だったらどうかとか・・・。それがプロのヒューマンエラー防止法です。はなはだ失礼な言い方ですが,こんな事でミスするのは,プロ失格というほかありません。<2ヶ月>と<60日>とは違うのですよ。小学生でも分かることではありませんか?」
こういうフェータルかつケアレスなミスが最近の法曹界では目立つような気がする。直近においては大阪地検における民法無知誤起訴である。
当該同業者が仕上げた書面は内容面・形式面双方において,はなはだお粗末なものであった。不服申立の宛先は,当該事案にあっては自治体首長である筈なのに,首長に対する「諮問機関」である○○委員会を宛先にしていたり,
請求の趣旨
「○○首長による○月○○日付け上記○○処分を取り消す」

と記載すべきところを
「○○の文書を公開せよ。もし○○の文書が存在しないのであればその旨明示せよ」などと書いてある。

「請求の理由」
としては,
第1 当該処分は○○文書公開条例の第○条の解釈を誤っており違法である。その理由は,以下のとおりである。
 1 ○○
 2 ××
 3 (まとめ)△△
第2 仮に当該処分は,違法でないとしても,不当であり,すべからく取り消されるべきである。その理由は,以下のとおりである。
 1 ・・・・
 2 ・・・・
 3 ・・・・

と書くべきなのに,訳の分からないことを書いていて,日本語の意味レベルで,理解不能なものである。 

本当に,今日は○○弁護士のおかげで時間を空費した。そろそろ当該同業者に引退勧告をしようと思っている。