しがない弁護士の一日の仕事(12/28)

朝8時30分ころ
二階から起床した。長男(小5)・二男(小1)と妻は既に起きていて,ピアノを弾いたり,「冬休みがいつまでも続いたらいい」などと述べていた。起床後間もない私は,ワイドショー等を見ながらパソコンで手持ち株の推移を眺める。日経225ミニ数枚を買い付けする。

朝9時前
前日(厳密に言うと日を跨いでいるので本日未明)まで,新潟配属修習生(60期法科大学院卒)と飲んでいたので,妻が運転する自動車で事務所まで送ってもらう。
その合間に,私が日常的に携帯している携帯電話に電話が架かってきた。マスメディアからの電話であった。

メディア「あの,新潟日報の記事を読んでお電話を差し上げました。」
当職「何の事件だっけ? 朝鮮総聯の件だろうか? 確か新潟日報の個別取材に応じたけど,もう記事になっているの? おいらは,当該記事を読んでいないから良く分からない」
メディア「差押えされた物件数は,何点ぐらいですか?」
当職「あぁ,約150点くらいですわ。何もかも根こそぎ持って行かれた。あんなガサイレは,プライヴァシー<個人情報>侵害だと思う。」
メディア「準抗告は本日出されると聞いたのですが・・・」
当職「書面は仕上げた。おそらく本日地裁に提出するであろう。細部の問題や誤記・誤植は事務所のパソコンを打ち直して手直しする。」
メディア「本日の何時ころ準抗告書面を提出されるのですか?」
当職「(切れる) あのね。弁護士の職業生活において,準抗告を出すというのは,日常業務の範囲内の仕事なんですよ。何時ころと言われても書面の点検が終わり次第という他,回答のしようがない。今から事務所に行くと,お客様との打ち合わせが2−4件ほど入っているから,たぶん午後4時ころに提出することとなると思いますです。他に質問はあるのか?」

自宅から事務所まで自動車約15分くらいなのだが,立て続けにメディアから2−3件の電話があり,同趣旨の受け答えをした。

9時20分ころ
事務所に出勤する。
事務員さん(2名)は休日に入っているので事務所は閑散としている。机の上に置いてある伝言メモ(○○さんに必ず○時に電話してください。税金関係の書類が自宅にあるはずなので,持ってきてください!!!というような鬼のような伝言)や関係郵便物に目をとおす。その合間にも,マスメディアから来電がしきりにある。

10時過ぎ
マンション経営者と不動産屋さん(いずれも当事務所の顧問先)との打ち合わせ。今後の事業展開等々について協議する。

11時ころから
インターネットで株価を点検する。東建コーポレーション(1776)が異常に下げている。他の手持ち株は概ね予想どおりの値動き。日経225ミニは上がりもしないしないし下がりもしない。

午後1時ころ
前日テンポラリー修習を予約していたリーガルトレイニー(司法修習第60期)が事務所に来訪したので事件を記録を見てもらう。刑事事件に熱意を燃やしているらしい。うだうだと論点整理をする。

当職「この事件のポイントは?」
トレイニー「白表紙みたいな事件ですね。因果関係の中断とか,自らが作出した既発の抗拒不能状態を利用してみたいな論点がありますが,サイコーの判例では」
当職「分かった。君が提出した疑問点や争点は,後日検討することとする。しかしね,少年事件てさぁ,<訴因-count-の拘束力>がないんだよね。検察官が○○○罪と<非行事実>で家裁送致したのだが・・・・。私は,成人刑事事件については,結構場数を踏んでいるのだが・・・。少年保護事件て,訴因-count-がないから,攻撃防御の対象が良く分からないんだ。サプライズとかあると困るのだよね。」


2時ころ
事件依頼者が相談のため来所される。ビール券1ダースの手土産をもらう(私選)。

2時半ころ
朝鮮総聯の事件で,ケータイや固定電話にしきりに電話が掛かってくる。通常の業務態勢であれば事務員さん限りで適当に受け答えするのだが,今日は事務員さんがいないので,いちいち電話に出る。どうして新聞記者は「○○月○日提訴」とか「関係者の年齢」とか「第○○回公判期日」とか「関係する準抗告申立は翌年○月○日の見込み」とか,そういうトリヴィアルな数字にこだわるのであろうか? 弁護士の業務レベルでは,全く気にしない数字なのだ。

3時ころ
裁判所の裁判所書記官(本庁・三条支部新発田支部・家裁本庁)から,「第1回公判期日指定」とか「受書を早急に出してください」とか「証拠説明書の提出期限から1週間過ぎていますが,一体何時になったら出しててくれるんですか」等々という電話が掛かってくる。
「私の事務所の事務員さんは,1月9日から出勤なで,それまでの間は書面は起案はするけど,提出はできない。すいません」と裁判所書記官に電話越しで謝る。午後5時を過ぎても裁判所書記官から電話があった。もう御用納めの筈だから,早く帰ってほしいのに,加藤新太郎所長の人使いが荒いらしい(伝聞)。刑事部 部総括(大谷吉史さん)は,加藤所長のダジャレに付き合って,遂にアゴの骨が脱臼したらしい。

tamago先生のブログを拝見すると,昔はそういうことはなかったらしい。私は,tamago先生より恐らく,20年以上年下だが,女性裁判所書記官や,女性裁判官が和服で出勤する場面は見たことがない。何時も辛気くさい法服を着ているから,気が滅入る。

http://d.hatena.ne.jp/tamago2/
今日は,官庁のご用納め。昔は,どこでも,仕事は早目に切り上げて,お寿司やつまみを準備して,ご苦労様でしたとビールで乾杯して,一頻り和気藹々と賑やかに歓談した後,他の部屋を回ったりしてその年最後の挨拶を交わした後,帰宅というようなことをしていましたが,随分前から,ご用納めの日も執務時間内はきちんと通常の仕事をするようにということになって,ご用納めの日も普段とほとんど変わらない状態となり,ご用初めの日も同じようになって,それとともに日本髪や和服で出勤する女性も少なくなってしまいました。

3時半ごろ
準抗告申立書を持参して,タクシーで新潟地裁に赴く。「テニー」という地元のテレビ局が地裁玄関前でキャメラをもって待ちかまえている。いわゆる「入廷行動」を取りたいらしい。
地裁書記官に提出書類を確認してもらう。<添附書類 委任状1通>と書いてあるのに,現実には委任状2通を添付していた。すかさず書記官からチェックを入れられたので<すいません。後日訂正印を押しますので>と謝る。

4時以降
司法記者クラブ幹事社(共同通信)に準抗告申立書の写しを手渡す。
破産申立依頼者や家裁の事件について,電話があり。

5時半ころ
株価の推移をチェック。日置電機は数日前から株を買っていて,そこそこ利益(数十万)が上がっているので売り抜けた。
しんぶん赤旗日曜版(私自身が小学校5年生のころから愛読者)を当事務所に配っているおじいさん(たぶん日本共産党員)が「今月の新聞代金は800円です」,と集金にきた。普段は事務員さんが対応しているのだが事務員さんがいないので,手持ちの財布から800円を抜き出して支払う。赤旗配りのおじいさんに「朝鮮総連朝鮮総聯)を応援してください」と要請したところ,「今度の細胞会議で検討しておきます」と言われて脱力した。日経225ミニは良く分からない値動きのまま推移して,保有中の状態である。
私の予想では,窓を開けて上がる。