葉山岳夫さんのこと

Barl-Karth2009-11-02


 最近,葉山岳夫さんと,一杯飲んだ。「1967年弁護士登録」というのだから,弁護士一筋42年の大先輩なのだな。 私みたいな駆け出しなんか足元にも及ばない。
 葉山先生の事務所には,「国労4党合意」問題で,何回かお邪魔させてもらった(本棚に「マルエン全集CD版」や「査問」がおいてあったのが印象的)のだが,その頃には,葉山さんが「現代史」に足跡を残している人だとは知らなかった。「いつもニコニコしている人の良さそうな,少し変わった宗教を信じている(マルクス教ではない)おじいさん。」というくらいのイメージしかなかった。



 小熊英二1968【上】から引用。
 

(前略−1959・11・27国会突入した活動家が間抜けにも逮捕された件)
 ・・・自宅に帰らず逮捕を免れた清水丈夫全学連書記長と,葉山岳夫ブント東大細胞キャップは,逃げ場を失って東大駒場と本郷のキャンパスに逃げ込み,10日あまり籠城の後逮捕された。

 この間一杯飲んだ折,葉山さんに「どっちがどっちに逃げ込んだのですか?」と聞いたら「俺が駒場,清水君が本郷」とのことだった。まぁ,トリビアな話なのだが,「へぇ」と思った。
歴史上の通説は,逆。
http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rlz=1T4GGIH_jaJP271JP271&q=%e8%91%89%e5%b1%b1%e3%80%80%e6%b8%85%e6%b0%b4%e4%b8%88%e5%a4%ab%e3%80%80%e6%9d%b1%e5%a4%a7

 
 まあ,両者とも確かに逮捕されたのだが,「自首した」というのが真相だという話をどこかで聞いたことがある。

一番信頼できそうな情報はここ
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/033/0488/03312110488005a.html

○井川伊平君 次に、法務大臣及び御関係の方々のお答えを願いたいと思うのでありますが、今次デモ参加の全学連のうち、二名の者に対しまして逮捕状が発せられ、その執行について、大学の当局との交渉の経緯、及び、全学連のこれに対する態度、こういうことについてお伺いすることと、それから、大学の自治ということと警察権行使との関係について、これは非常にむずかしい問題になろうと存じますが、こういうことについてお伺いしたいのであります。司法権が発動した場合において、学園の自治と警察権介入の限度と申しましょうか、こういう点につきまして、お伺いを申し上げます。
国務大臣(井野碩哉君) 大学の二人の学生の逮捕問題につきまして、学園との交渉については、むしろ、警察庁長官が直接に当たられておりますから、お答えをした方が適当だと思います。
 捜査権の問題につきましては、学問の自由と申しましても、憲法に保障されておりますけれども、現行犯その他につきましては、むろん、学内にも警察権が入ることはさしつかえないのでありまして、従って、捜査権並びに検挙の問題につきましては、警察庁の側におきましても、学内に入り得る。学内は治外法権ではないのでありますから、当然入り得る。しかし、その方法につきましては、今回警察庁がとられましたように、大学とも十分に話し合って、そして自治を尊重しつつ執行されたという、あの行き方は、私どもは非常にいい行き方であったと考えております。
○説明員(小倉謙君) 東大生二名の逮捕と、東大当局との折衝状況といいますか、その他の事柄について、私の方で直接行ないましたので、御説明申し上げたいと存じます。問題になりました二人の学生、全学連の書記長の清水丈夫につきましては、二十七日の国会乱入の事件のありました翌日、二十八日に、逮捕状の発付を得て捜査に当たり、またいま一人の、東大法学部の自治委員長である葉山岳夫と申しますか、これにつきましては、十一月三十日に逮捕状を得て、即日捜査に当たったのであります。この両名と同じころに逮捕状の発付のありましたものにつきましては、それぞれ逮捕をいたしたのでありますが、この二人が、その後、一人は本郷の東大構内、一人は駒場教養学部構内におるということを知りまして、直ちに警視庁といたしましては、本富士署並びに目黒署の両署長を通じまして、学校当局に、逮捕方についての協力を求めたのであります。これに対しまして、学校当局におきましては、今回の両名の逮捕につきましては、責任をもって学校において協力をする、しかしながら、現在学生は相当気勢が上がっておる際でもあるし、不測の事態の発生も予想されるので、強制捜査という、学内における逮捕状の執行は、できる限り一つしばらく待ってほしい、こういうような申し出があったのであります。その後学校当局の状況は、私どもの承知いたしましておるところでは、非常に誠意をもってこの問題に当たっておられまして、直接の説得、あるいは関係の学生に対する説得等、学長を初め、各幹部が熱意をもって当たっておられたのでありまするが、しかしながら、学生側といいますか、全学連の幹部といいますか、これはどこまでもこの両名を学内において守るのであるというような態度で、なかなかこれに応じてこないのであります。
 そこで、十二月の四日に、さらに警視庁といたしましては、総監名をもちまして、文書によって東大茅学長に対し、本人に対して、警察へ出頭をすすめること、あるいは大学の構内から退去を求めることなど、逮捕について一段と強力に一つ協力を願いたい、こういうお願いをしたのであります。その際茅学長は、全く警察の言われる通りである。さらに一そう現在の努力を続けて、何とか極力説得するから、もうしばらく様子を見てもらいたい、こういうお話であったのであります。
 そこで、私どもの考え方としましては、学内における捜査につきましては、特別緊急の事態の場合は別でありまするが、一応学校当局に連絡をとり、その協力を求めるということが、従来の慣行になっておりますし、また今回の事件は、普通の強盗とか、何とかというような事件とは違いまして、多くの学生が関係を持ちました二十七日の国会デモ乱入事件についての捜査でありまして、この点は逮捕の執行について、多数の学生が相当非常な関心を持っておる問題でありますので、時期を誤って逮捕を急ぎます場合には、相当の混乱となり、場合によっては思わない流血の惨事も発生しかねない、こういうような判断を持ちまして、極力学校当局の誠意ある努力にしばらくの間は待つという考えでおったのであります。しかしながら、なかなかその効果が現われないというので、再三にわたって協力方を要請しましたが、そのうちまず第一に法学部の学生大会において、東大構内におる葉山を学校構内から退去さすべきである、こういうような明確なる態度の表明が十二月の八日にあったのであります。これは四百三十対七十というような圧倒的な多数で、そういうような態度の表明がありましたのに続いて、八日九日と各学部の学生大会が行なわれて、それと同じような見通しも見受けられるというような状況になりました。そのころ九日の昼でありましたが、茅学長が私の部屋においでになりまして、それまでに学校当局が努力をされた実情並びに学生の動向、ただいまの法学部その他の学部の状況等も話をされまして、ぜひとも大学として何とかしたいということで、ここで警察が学内に強力に逮捕に来られるということになると、こういうような一般の学生の動向が非常にまた逆になってしまう、こういうような心配もされまして、もう少し猶予をしてもらいたいというようなお話がございましたので、私どもも今回の事件につきまして、一般の学生がほんとうに学内の自治活動あるいは社会運動について真剣な関心を寄せ、正しい態度をとるということはもちろん望むところでありますので、学長のお話を聞きまして、警視庁としても、いましばらく慎重な態度で待つ、こういうような考えで当日を見送ったのであります。翌十日の午前五時ごろでありますが、学長の方から連絡がありまして、その当時の実情の御説明があったのでありますが、その前に九日の夜あたりから、この当該の学生が、自分が自首して出ようというような気持をだんだん抱くようになった。そういうような情報がありましたので、私どもとしましては、それが一番よいことであるというので、期待をしておったのでありますが、やはり本人の気持だけでは、組織の中の一員でありまするから、それが実現するに至らなかったのであります。そのようなことも、ただいまの十日の午前五時の学長からの連絡でございまして、残念ながら自首ということはできないような状況である、しかしながら、本日の十日の午前十時ごろに学生は外に出る、他の学生と一緒にデモというような格好であるけれども、外に出るということになった。それでその際に警察官が逮捕されるという場合には、本人に対しても極力おとなしく逮捕されるようにということを申してある。他の学生に迷惑がかからぬように男らしく逮捕されるように、りっぱな態度で応ずるようにというようなことを申してあると、こういうような連絡がございまして、まあそういうようなことでありまするならば、私どもも自首という形を最も当時としては望んでおったのでありまするが、わずか数時間のことではありますし、学外において出てきたところを待ち受けて逮捕しよう、こういうような考えで、葉山は午前十時ごろ本郷の三丁目でしたかで逮捕しました。それから清水の方は渋谷の松濤町附近であったと思いますが、十二時半ごろ逮捕いたしたような次第でございます。
 なお、学内における学園の自治と捜査権の行使につきましては、先ほど法務大臣からお話がございました通りでございまして、学内といえども決して治外法権ではありませんので、当然捜査権が行使されることは申すまでもないのでございます。ただ、従来の慣行あるいは文部省の従来の御意向、それと私どもとの取りきめ等もありまして、学園における捜査は、緊急の場合、あるいは人の生命身体に危害が及ぶというような場合を除いては、一応学校当局に連絡し、学校当局が逮捕に協力する。その状況によって、あるいは逃走のおそれがあるというような場合には、もちろん、警察はそのようなことが当然ありましょうとも、学内において逮捕するわけでありますが、一応は学校当局の努力に待つと、こういうようなことで従来もやって参りましたし、今回もそういうような行き方で行なったわけであります。ただ、数日間というものが、ああいうように不当な状態にありましたことにつきましては、私どもも残念に思っておりまするが、しかしながら、ただいま申し上げましたようないきさつでございまして、まあこれを機会に学生がほんとうに正しい方向に自治活動なり社会運動というものについて考えてくれるならば、まあそういう意味においてはプラスであったのではないか、こういうふうに考えておるような次第であります。

革共同全国委員会議長 清水丈夫氏に関して,興味深い記事を見つけた。

http://www.mr-kondoh.com/goikenban0710.html

144.2007年10月5日(金) 元全学連書記長・清水丈夫さんの思い出

 もう一人,よくお会いする弁護士さんも,この本に1カ所だけ登場する。何でも,自分のやらかした事件(労働運動で,上司を人質にして,局長室に立てこもったらしい)が今でも「模範六法」に載っているのだそうだ。