主張予定事実記載書(裁判員裁判違憲主張 新潟)

主張予定事実記載書
平成22年1月29日
新潟地方裁判所 刑事部 御中

弁護人 弁護士 障氈i高)島 章

強制わいせつ致傷
被告人 XXXX

 上記被告人に対する頭書被告事件について,弁護人が主張しようとする事項は以下のとおりである。

第1 法律上の主張
憲法違反
 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(以下,「裁判員法」という)は,憲法80条1項(裁判官の任命方法),同37条1項(公平な裁判所),同76条3項(裁判官の独立),同32条(裁判を受ける権利)にそれぞれ違反する。
(1) 冒頭手続
 したがって,この主張を,弁護人の冒頭手続において明らかにした上,直ちに裁判員による手続を打ち切り,裁判官のみによる法廷において審理をすべき旨を申し立てる。
(2) 最終弁論
 上記(1)の申し立てが容れられなかった場合,弁護人の最終弁論において,再度憲法違反の主張を述べ,公訴棄却の判決が相当である旨主張する。
また,裁判員制度違憲性について,新潟大学法科大学院教授を証人申請する予定である。
2 余罪の主張立証
検察官は,「被告人は,本件手口と同じ手口及び動機による強制わいせつ事件を多数敢行しており,本件は,常習的かつ計画的犯行であること」を立証する予定である旨,証明予定事実記載書に記載しているが,本件において,情状として,余罪の存在を主張立証することは許されない。
いわゆる「余罪と量刑」の問題については,最高裁判例も存在するが,これは,「余罪が刑事手続で裁かれる見込みがほとんどない」ことを前提としたものである。
しかるに,本件において被告人が敢行した(と検察官が主張している)「余罪」は本件手続とは別の公判手続で裁かれており,本件とは別に判決が言い渡される予定である。したがって,被告人に余罪があることを理由に本件公訴事実について重い量刑を科することは,まさに二重評価であり,許されるものではない。
検察官は,乙2・乙3・被告人質問で上記の点を立証するようであるが,これについては,異議がある(検察官の被告人質問において余罪の点に質問が及んだ場合は,即座に異議を申し立てる)。