相談過誤?

【クリーニング業を営んでいる方からのお問い合わせ】
 クリーニング業を営んでいるが、売掛金の回収ができずに困っています。額が11万円と少ないので手続に費用がかかる場合にはあきらめようと思っているんですが・・・。

[オペレーターの回答]
 売掛金の法的手続によらない回収方法としては、一般的には、相手との交渉や内容証明郵便による督促などがあります。内容証明郵便は、文書の内容、差出月日、到達月日等が公的に証明されることから、後日、訴訟等において、意思表示の日付や内容等を立証するための立証方法として用いられることがあります。
[お褒めの言葉]
 勇気を出して電話をかけてみた。大した対応は期待していなかったが、かけてみるととても親切に教えていただけて、非常に安堵しました。ありがとう。

[突っ込みの言葉]
これは相談者に対してきわめて誤解を与える回答である。
1 クリーニング屋さんの債権は2年で時効消滅する(僕らが司法試験の勉強をしていたころは「居職人」といっていた−改正前文語民法−)。

▼▼▼ 民法 第173条  ▼▼▼
次に掲げる債権は、2年間行使しないときは、消滅する。
1、生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権
2、自己の技能を用い、注文を受けて、物を製作し又は自己の仕事場で他人のために仕
  事をすることを業とする者の仕事に関する債権

3、学芸又は技能の教育を行う者が生徒の教育、衣食又は寄宿の代価について有する債
  権



クリーニング代なんてものはよく知らないけど,せいぜい月5000円くらいだろう。古い債権の方から順番に時効にかかってくるのじゃないかい?
2 世の中には,「半年に1回内容証明を送りつければ,時効は伸びる」と考えている人がいる。しかし,この考え方は間違い! 「あと2ヶ月で時効にかかってしまう。しかし,弁護士が見つからない。」という場合,とりあえず内容証明を出し,それから半年以内に訴状を提出すると,時効にならない。というだけの話なのだ。回答者は,ここまできちんと説明しないと「相談過誤」になるよ! 被告は,「法テラス」だからな。
3 内容証明郵便は、文書の内容、差出月日、到達月日等が公的に証明されることから、後日、訴訟等において、意思表示の日付や内容等を立証するための立証方法として用いられることがあります。←それはそうかも知れないが,もっと有効な回答はないのか? 私なら(あるいは弁護士会に直接相談電話を入れてくれれば),以下のように答える。
N県弁護士会には,<少額事件援助>という制度があります。例えば,訴訟で訴える金額が十数万円〜数十万円の場合,弁護士費用で「赤字」が出ると馬鹿馬鹿しいですよね。それで,弁護士会がお客様に代わって,事件を受ける弁護士に7−8万円払うという制度なんですよ。このお金は弁護士会基金で支払われるので,お客様はこのお金を支払わなくて良いのです。「小さな権利もきちんと守る」,という制度です。
[お褒めの言葉]
ええ?! ホントにそんな良い制度があるのですか? やっぱり法テラスなんていかがわしいところに電話せず,弁護士会(025−222−3765)に直接電話して良かったです。危うくたらい回しされて,分けの分からない回答を受けるところでした。早速紹介していただいた○○弁護士のところに電話してみます。ありがとう!!