要請文

日弁連会長から全会員に対して,要請文が送られてきた。まずは論評を抜きにして全文を掲載する。

                          日弁連業1第163号
                          2007年1月18日
会 員 各 位
                        日本弁護士連合会
                         会 長 平 山 正 剛
                             (公印省略)

    新人採用増大への緊急の要請
日頃から当連合会の会務にご協力いただき、厚く御礼申し上げます。
さて、弁護士大増員時代をむかえ、本年中には、現60期および新60期の合計約2400
人から2500人が司法修習を終了し、その9割程度が弁護士を志望しているものと推察され
ます。60期(現・新)においては、新規登録弁護士が昨年に弁護士登録した59期より約1000
名増加することが見込まれます。
このような60期(現・新)の新規登録弁護士見込数に対して、法律事務所の求人数が相当
数下まわることについては、昨年5月〜7月に実施した求人アンケートの結果から予測され
ていたところです。昨年12月23日に当連合会が実施した弁護士会(東京三会および大阪を
除く)による就職情報説明会においても、400名余の司法修習生の参加がありましたが、こ
の説明会に寄せられた求人情報は、参加者数をはるかに下まわるものでした。
このまま推移した場合、60期(現・新)において、多数の就職を果たせない者が出てしま
うことが憂慮される状況となっています。就職できない多くの弁護士志望の修習終了者が
出た場合には、オンザジョブトレーニングによる後進の育成を果たし得ないばかりか、今
後弁護士を目指す有為な人材を失い、弁護士全体の活力や基盤が低下していくことを大い
に懸念するところであります。当連合会においても、昨年7月に弁護士業務総合推進セン
ターを立ち上げ、弁護士業務の拡充とともに企業・官庁・自治体その他諸団体における弁
護士求人ニーズの発掘・喚起に鋭意取り組んでおりますが、事態は急を告げております。
会員各位には、所属する法律事務所・企業・官庁・自治体等において、60期(現・新)の
採用についてより一層の積極的な取組みをされることをここに要請します。
なお、前記の就職情報説明会において参加した司法修習生に対して実施したアンケート
結果を、参考までに裏面に掲載致します。

司法修習生アンケート結果の要旨
(06.12.23「弁護士会による就職情報説明会」にて実施)
(注)上記説明会は、弁護士の大都市偏在解消を目的として、東京3会および大阪以外
弁護士会を対象に開催され、33会が参加しました。司法修習生は、400名余が
参加し、うち183名がアンケートに回答しました。
・東京・大阪以外の事務所に就職する意思
是非 40%
良い事務所あれば 45%
大都市で就職できなければ 6%
将来的に就業(開業) 3%
迷い中 5%
就職意思なし 2%

・東京・大阪以外で就職(開業)したい理由(複数回答可)
幅広い事件を扱える 20%'
早期に独立・開業できる 11%
環境が良い    23%
自分・家族と地縁・血縁のあるところで 24%
小規模な地域の方が合っている 14%
東京・大阪で食べていけるか不明 5%
その他. 2%

・就業(開業)を検討している都道府県別(東京・大阪を除く)の人数(複数回答可)
北海道 15 富山 7 鳥取 10 宮崎 4
青森 6 石川 10 島根 11 鹿児島 4
岩手 8 福井 5 岡山 16 沖縄 5
宮城 15 山梨 7 広島 14
秋田 3 長野 9 山口 10
山形 4 岐阜 9 徳島 5
福島 8 静岡 14 香川 2
茨城 22 愛知 36 愛媛 2
栃木 16 三重 11 高知 5
群馬 17 滋賀 20 福岡 12
埼玉 37 京都 43 佐賀 3
千葉 38 兵庫 53 長崎 6
神奈川 50 奈良 21 熊本 4
新潟 11 和歌山 13 大分 4

・就職先に求める最低限の給与額
700万円以上 2%
600万円以上〜700万円未満 17%
500万円以上〜600万円未満 42%
400万円以上〜500万円未満 15%
300万円以上〜400万円未満 5%
300万円未満 0.%
金額にはこだわらないが給与は必要 16%
給与は不要(机・備品を提供してもらえれば) 2%