ある種の指導文書

 以下に掲載する「指導文書」は,リーガルトレーニーやエクスターンシップ院生の指導のため起案したのかも知れないし,弁護士会の役職上起案したのかも知れない。その他色々な可能性はある。もしかすると全く架空の文書(小説「貧乏弁護士一代記」の覚書)かも知れない。その辺は,読者の想像に一任する。


○○ さん

                      弁護士 Barl Karth
Tel KKKKKKK
Fax KKKKKKK

ご連絡

1 XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
およそ専門家(たるべき者)がそのタイトルにおいて作成する文書の体をなしていないからです。
 XXも刑事法の勉強をしていたと思われるのでお分かりでしょうが,「自分の要求を飲まなければ害悪があるであろう(例えばマスメディアに不名誉な報道がなされるであろう)」と告知することは,恐喝罪・強要罪を構成します。もちろんXXXXXXXXXXXXXXXXます。仮に当該の要求事項が,要求者の正当な権利であるとしても同様です(ユーザーユニオン事件等判例多数あり)。
2 法律家(たるべき者)はプロフェッショナルです。プロフェッショナルは,ギリシア・ローマの昔から「悩み苦しんでいる人,自分自身の判断で自分の人生・自分の問題を解決できない人のために働く職」と定義されています(医者・法律家・聖職者)。したがって,およそプロフェッショナルである者は,依頼者(患者・事件依頼者・信徒)に対してパターナリスティックな助言をする義務があるのです。
患者から医者に対し「私には,デパスよりリタリンがあっていると思います」と言われて,医者がリタリンを処方したら,それはプロフェッショナルの仕事とは言えませんし,患者さんの健康を害することとなるのです。私が申し上げたいことがお分かりになりますか? 「依頼者がこうしてくれというからそうしたまでだ」ということがプロフェッショナル(たるべき者の)職務遂行の抗弁には到底なり得ません。

 XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
3 XXXXXXXXXXXXXXXXXX,遅滞に次ぐ遅滞・遅滞の上で出てきた書面が,お話しにならないレベルです。ここまで言いたくありませんが,文書作成を業とする(べき)者の文書とは言えないし,義務教育を終え日本語を日常言語とする者の文書でさえありません。法律家は,しばしば悪文家ではありますが,○○さんの文書は単なる悪文ではなく,意味が分からないのです。
 XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX読まれるのが恥ずかしいからです。
4 私は,口うるさくあなたが作成した書面に対して「1 書式集を参照してください,2 訴訟物はなにか,3 要件事実は? 4 これは要件事実なのか,間接事実なのか,事情なのか? 証拠なのか?」と述べていますが,あなたの法律文書作成能力は全く向上しません。むしろ,低下していると言って良かろうかと思います。
これだけ指導してもこの有様であれば,私も匙を投げざるを得ません。