当時の受験生が愛用していた六法全書

 45期以前の受験生なら知っていると思うが,往事の受験生が愛用していた六法全書有斐閣模範六法等←弁護士になってから,CD版をハードディスクにインストゥールしている)は,民法も刑法も商法も民訴もカタカナ文語文であった。高校時代に「漢語」を勉強していないと良く読めない(我 汝ニ 問フ。汝何処(イズコ)ヨリ来リシ哉,みたいな文体,「チコウヲ穿チ(「所有権の限界」の条文で<土地所有者が土地上に井戸を掘るときは隣地境界から50センチくらい離すこと」という意味。とにかく相隣関係の漢字は,全然読めない)。
 同時に受験生は,受験対策用に「司法試験用六法」を使っていた(法学部のある大学の生協や,町の本屋さんで売っていた)。
 「司法試験用六法(B6版くらいの大きさ)」は索引もないし,参考判例も載っていない。
 「模範六法」等では刑法施行法の条文が若干省略されているのだが,「司法試験用六法」では,同法の条文全部が掲載されていた。検事は要すれば「執行猶予が相当」と論告するのだそうだ(69ヘェ)。弁護人は「執行猶予のご恩典を賜りたい」と弁論してはいけないらしい。

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