司法の民主化なんかいらない

 この辺は重要なので,少しく引用する。
 −国民にとっては不利益な点ばかり目につきますが,裁判員制度にメリットはあるのですか?
 「皮肉な見方をすれば,裁判所が得をすることもあります。裁判員制度を実施すれば,制度の実施のためには,人が足らない,法廷を大きくしたいといって,国への予算要求の口実になります。また,この制度のもとでは,裁判所の責任が分散され,誤判・冤罪があっても裁判員のせいできることになります」

−「司法の民主化」を建前として標榜する裁判員制度ですが(後略)
 「本県(新潟県)月潟村出身の憲法学者 佐藤幸治氏の著作【憲法】の中では,”司法は民主主義から超然とすべき”だということが述べられています。私もそれに賛成です。司法が民主的である必要はありません。”司法の民主化”といいますが,そもそもそんな主張を強く聞いたことがありますか? ないでしょう? それが(裁判員制度の導入)の切っ掛けあってならまだしもそれがない。ほんの一部の論者が唱えているだけです。
 もちろん国民の生活にかかわることを決めるのは民主的であるべきだと思います。しかし,有罪無罪の判決に,法に関して素人である裁判員たちに多数決原理を導入しようという試みにはため息すらでます。面倒だらけの裁判員への参加を強制している時点でこの制度自体が民主的ではありません。」
−結論としては,裁判員制度など必要ない,現行制度の維持で十分だということでしょうか?
−「そうは思いません。(中略)しかし,弁護士の質の低下,検察側の高圧的な取り調べ,自白しているから有罪だという杜撰な事実認定,全知全能だとして権力を誇示する裁判官など,問題は多々あります。
 まずはそこから改めるべきです。(中略)憲法で定められていること,刑事訴訟法で定められていることに,より忠実になるだけで,現行制度も相当改善されると思います」