法王が大学訪問取りやめ 「科学に敵対的」と教授ら抗議

http://www.asahi.com/international/update/0116/TKY200801160043.html

http://d.hatena.ne.jp/Herrenmoral/
さん経由のネタ。

2008年01月16日10時02分

 バチカンは15日、ローマ法王ベネディクト16世が17日に予定していたローマ大学訪問を「延期する」と発表した。事実上の訪問取りやめとなる。新学年開始のセレモニーで講演することになっていたが、カトリック保守派で知られる法王の訪問計画に一部の教授、学生らが抗議していた。法王訪問が安全問題以外の理由で中止されるのは極めて異例だ。

 「リベラル」・「左派」といわれる連中の方が「ファンダメンタル」より度量が狭いんじゃないか,と思うことがときどきあるのだが,今回もその一例だろう。「一部の教授、学生」というのは,日本で言えば正平協とか日基社会派みたいな連中だろう。イスラームだって,ベネディクト16世の訪問・講演を歓迎したのに,連中は,イスラームより狭量らしい。
 「ファンダメンタル」は論敵からの攻撃に対して,「だって聖書に書いてあるから。」と防戦すればいいわけで,議論に強いし(笑),その意味で論争に際し余裕がある。「リベラル」はそういうわけにはいかないから−哲学とか歴史とか文献批評とか色々色勉強しないといけない−,論争に弱い。

 抗議活動は、物理学部の教授ら67人が「(法王は)科学研究に対して敵対的だ」などとする書簡を学長に送り、講演の中止を求めたのをきっかけに、15日にはこれに呼応した学生が学内で座り込みを開始。法王訪問を批判する横断幕を掲げるなどした。

 イタリアにも「民主科学者協会」みたいな団体があるのだろうか? 10年以上前ある大学教員の事件にかかわったのだが,教員の所属する学部では,ある党派の党員にならないと教授には昇進できないと言うことらしい(どうも本当の話だった)。全く,理系の左翼というのは,考え方が硬直していて,話していて馬鹿馬鹿しくなることがときどきある。文系左翼(私?)の方が柔軟だ。

 教授らの書簡は、法王が枢機卿時代、講演で17世紀に地動説のガリレオ・ガリレイを断罪した宗教裁判を正当化したと批判。しかし、発言部分は他の哲学者の引用部分で、法王は「信仰は合理性を拒否するのではなく、それを認めることから始まるべきだ」と結論づけていたとの指摘もある。ガリレオ裁判については92年、前法王のヨハネ・パウロ2世が謝罪している。

 バチカンは進化論を認めているし-残念ながら-,地動説の話は良く知らんが,字義解釈(リテラリズム,逐語霊感とは違う)の象徴だろう。どうも,ラッツィーは「引用」で揚げ足を取られることが多い。
 ラッツィーは確かにローマ・カトリック保守派だろう。しかし,著作を読めば分かるとおり−このブログでも少し紹介している−氏の考えは「ローマ」以外でも十分通用するし,その辺の,「いわゆるリベラル」が100人徒党を組んでもかなうはずがない。リベラルがラッツイーと論争して勝てると思ったら講演に呼んで論破すればいいじゃないか。
 バチカンバチカンだね。そもそも,「神学者ラッツインガー」を教皇に選んで彼の学問の自由・表現の自由を制約したのが間違いだったと思う。
 イタリアがダメなら,日本だ! 上智か南山がラッツィーを招聘しろ。俺がいくらでも資金を出すから。