承諾があったので転載する

(ただし,一部仮名とする)<高島章先生
 メールをありがとうございました。
 転載して結構です。大いに議論しましょう。
 新潟大学法科大学院教授・新潟弁護士会弁護士・鯰越 溢弘

>  鯰越先生の下記メールを私のブログ
>
> http://d.hatena.ne.jp/Barl-Karth/
>
> に転載して良いですか?
>  
>  公開の場で対論する方が民主的だと思います。
>  最高裁日弁連・大学等々各方面からアクセスがあります。
>
> -----Original Message-----
> From: post-01081459-VEC02507=nifty.com@post.freeml.com
> post-01081459-VEC02507=nifty.com@post.freeml.com] On Behalf Of
> namaz@bg8.so-net.ne.jp
> Sent: Saturday, March 08, 2008 2:05 PM
> To: saiban-iyayo@freeml.com
> Subject: [新潟・裁判員委員会:0085] Re: 裁判員制度、可視化について
>
>  下記の意見について、愚見を申し述べます。
>  ?取調過程の可視化は、刑事手続の改革の中でも、重要な課題であるとする点では
> 賛成です。
>   しかし、可視化は、直接的には、裁判員制度とは切り離して議論すべき問題で
> す。
>   
>   その理由は、第1に取調過程の可視化は、即刻実現をめざすべきものです。裁判
> 員制度と結びつけて
>   可視化を論じるとすれば、裁判員裁判が開始されるのでなければ可視化は必要な
> いという主張につながり
>   更に、裁判官裁判であれば「調書裁判」で良いという主張に論拠を与えることに
> なります。
>
>   取調過程の可視化が、裁判員裁判の導入を契機として実現可能性が出てきたこと
> は事実であり、
>   裁判員制度導入が与えた現実的な影響であるということは正しいと思いますが、
> 論理を逆転させては
>   ならないと思います。
>
>  ?裁判員裁判を延期せよという決議が可決されたそうですが、それに賛成した会員
> は、どういう理由で賛成
>   したのか、理解に苦しみます。
>   国民の司法参加に反対という西野喜一氏の主張に賛同したのでしょうか。
>   西野喜一氏の主張は、つまるところは、職業裁判官であれば誤り無く事実認定で
> きるが、国民はできないという
>   点に尽きます。職業裁判官でも事実認定を誤ることがあることは、松川事件等の
> 裁判や多くの「再審無罪事件」、
>   再審請求事件の存在が示している通りです。陪審であれば誤判が増えるというの
> が西野氏の口癖ですが、全く
>   根拠のない主張です。実証的な研究成果をみれば、そのようなことは言えないこ
> とは明らかです。
>   それとも、裁判所・検察庁は、来年の5月の開始に向けて着々と準備を進めてい
> る中で、弁護士会のみは
>   自信がないから待って欲しいというのでしょうか。
>   
>  ?裁判員制度の開始の延期を求める決議は、多くの波紋を広げていますが、本当に
> 延期が可能だと考えている
>   のでしょうか。全国の会員は、今、多忙な中で、裁判員裁判の実施に向けて必死
> に準備に取り組んでいます。
>   延期決議は、新潟県弁護士会の準備が遅れていることを宣伝した以上の意味はな
> いと思います。
>   その上で、更に、裁判員延期を求める内容のパンフレットを作成するというので
> あれば、極めて無責任な
>   行動であると言わざるをえません。
>
>  ?裁判員裁判の実施が確実であると現状認識に立って、新潟県弁護士会も早急に対
> 応に取り組むべきです。
>   高島章弁護士が延期の提案の中心となったそうですが、高島弁護士は当番弁護士
> 名簿に登載しているのでしょうか。
>   被疑者国選にはどのような意見を持っているのでしょうか。法テラスの設立は、
> どう考えているのでしょうか。
>   裁判員裁判は、司法制度改革の1つの目玉であることは事実ですが、刑事司法制
> 度改革全体の中で評価する必要が
>   あります。刑事訴訟法の専門でもなく、憲法の専門でもなく、刑事裁判官の経験
> もない西野氏の主張は、到底
>   首肯できません。機会があれば、勉強会を実施して対談をし、その誤りを指摘し
> たいと思っています。
>
>  以上、愚見を申し上げました。
>
>  新潟大学法科大学院教授・新潟弁護士会弁護士・鯰越 溢弘