「教えていただけないか」ということなので

弁護士独立開業マーケティング
http://bengoshidokuritsu.sblo.jp/
というブログで,以下のような記載がありました。

裁判員制度反対のある弁護士さんによると、裁判員制度反対というのは、戦争に子ども達を再び送るなという理念の、論理的な帰結だそうです。一体全体、どういう「論理」で考えればそうなるのか、私にはさっぱり分かりません。どなたか教えていただけないでしょうか。

ついでと言っては何ですが、やはり裁判員制度反対派のある弁護士さんによると、福田首相が辞任したので、裁判員制度の廃止は事実上キマリだそうです。こちらに付きましても、私の頭ではいくら考えても何故「キマリ」なのか分かりません。どなたかご教示いただければ幸いです。

http://d.hatena.ne.jp/Barl-Karth/20080614#1213406059
http://d.hatena.ne.jp/tamago2/20080902#1220306297
にそれぞれリンク有り。


 当該サイトのコメント欄に「教示」を書き込んでも良いのでしょうが,こちらに書きました。

教示に入る前に,苦情を一つ。
 
 私の所見を批判されているオージローという方は,「どなたか教えていただけないでしょうか。」と述べていますが,批評の対象となっている者に教示を要請するのが早道でしょうから,このブログのコメント欄に同旨の内容を記載するのが,筋でしょう。同旨の内容でなくても,「私のブログに関連の記載をしました」くらい書いていただいても良かろうかと思います。そうしてくれないと,なんだか,裏で悪口を言われているみたいだし,反論や釈明の機会が失われる可能性も強いのですからね。

 それでは本題。

1 私がなぜ,「戦争に子ども達を再び送るな」という「耳たこ左翼スローガン」を口にしたかといえば,そういう言葉を普段使っている勢力への当てつけです。普段そういう言葉を使っていた連中が,日弁連執行部,いわゆる司法改革制度,裁判員制度に賛同してきたのです。もっともご承知のとおり(?),最近転向したようですが。
2 裁判員と戦争の類似性はこのブログにも触れているとおりです。
http://d.hatena.ne.jp/Barl-Karth/20080528#1211961821
を読んでみてください。
3 それでも分からないということであれば,時間のある折,説明しますので,その旨お申し付けください。
4 やや脱線ですが,私は,上記のような左翼的決まり文句は,体質的に受け入れられない人間なんです。そういう私でも,さすがに裁判員と徴兵の類似性,その根本にある,「統治主体意識」なる珍妙にして危険なイデオロギーを考えると,「決まり文句的」な言葉を使わざるを得ない。
氏は,

多くの弁護士が、それを認めずに反対運動をするものですから、裁判員反対の論調は、常識はずれなものになっているんじゃないでしょうかね。

という言葉に続けて,私のブログを紹介しているので,文脈上,私の立論が「常識はずれ」であると評価しているのでしょうが,同様のこと(裁判員と徴兵制の同質性)は,「裁判員の正体」の著者西野喜一教授も述べています。西野教授は,「常識はずれ」な人ではもちろんないし,おそらく,私と同様「左翼的スローガン」がお嫌いな人です。良識的なリベラリストくらいの位置にある人です。

 後半の「福田辞任と裁判員の廃止」は,ここ1ヶ月の政治情勢を見れば,私の頭(すなわち弁護士程度の頭)でお分かりになることでしょう。
1 本年8月上旬,社民・共産党が明確に延期を提言し,民主党は,公式の声明はないものの,「政権を取ったら裁判員の見直しを検討する」と党首が述べている。
2 「1」のころ,衆議院総選挙が取りざたされていた。自民党内部においても「裁判員後期高齢者医療の二の舞にならないか」とささやかれている。選挙時期は,「11月ころ」と予想され,幸か不幸か30万人もの国民に「裁判員候補者名簿搭載通知」が発送される時期と重なる。選挙となれば,野党が裁判員を「政争の道具」にするのは目に見えており,自民・公明には圧倒的に不利。

 これらを考えただけでも,「福田辞任で裁判員制度の廃止は事実上キマリ」が「いくら考えても分からない話」とはいえないでしょう。

(上記立論が,「いくら考えても分からない話」ではないにしても,「福田辞任がこれまでの裁判員延期・廃止の流れに棹さすもの」という分析は,ちょっと異論があります。何しろ,今回の辞任劇がサプライズであったことは否めず,9月の臨時国会−その始期は当初予定より遅れる−で,裁判員についてじっくり論戦する時間が失われたのではないか?等々の見方もできる。反面,新総理・総裁ということであれば,「裁判員見直し」は「選挙対策」とも相まって,打ち出しやすい,という見方もできる。悩ましいところ・・・。)

 最後に上記ブログに対する感想を若干述べます。

私は1年半前に独立するとき、自分の一番経験のある企業法務に特化して勝負しようと思いました。しかし、企業の仕事がいきなり沢山来るわけではないと思っていましたので、もう一つ何か「商品」があったほうが良いなと思ったんですね。
それで選んだのが「刑事弁護」です。多くの弁護士が、「刑事では食べられない」と言っていましたが、私は必ず需要があるはずだと考えていました。さらに、刑事の世界は、しばらくすると裁判員制度が始まるので、その意味でも面白いかなという気持ちがあったのも確かです。

 刑事弁護を「商品」と見たり,裁判員を「ビジネスチャンス」と考えたりするのは,どうかと思われますが,ご趣旨は理解できます。従来の職業裁判官による法廷に比べ,裁判員制度のもとでは「弁護人の腕」で判決結果が左右される局面が多くなるでしょう(日弁連のFAXも同様)。
 私自身,外国人の私選弁護でそれなりの収益を得ているし,無罪判決ももらっているので,「ビジネスチャンス」と言われればそうかもしれません。
 しかし,刑事弁護が「商品」とされ,裁判員が「弁護士にとってのビジネスチャンス」となり,独立間もない弁護士に「面白いかな」と思われることが,市民のためになるとはいえないでしょう(だいぶ怒りを抑えて書いているのです)。大多数の被疑者・被告人(国民)にとって,きわめて不幸な事態と言うべきです。

http://d.hatena.ne.jp/Barl-Karth/20080118#1200575057

 まして裁判員裁判の弁護人になろうとする弁護士が,どのような力量・経験を持っている人たちになるのかも,不明確です(弁護士会の役職の関係上この点について,多少は知っているのですが,これ以上は,ちょっと書きづらい)。

ステファノを迫害したパウロのように、私も裁判員制度反対論者を迫害しているのならば、大変恐縮です。私の目から鱗を取っていただけるのならば、喜んで悔い改めたいと思ってはいるのです。


 私は,裁判員反対論者としてかなり著名(ステファノほど偉くない)ですが,恐縮されるに及びません。私はヨハネでもイエスでもないから,あなたに悔い改めを求めませんが,再考くらいはしてほしいものです>聖パウロ様!

では,私も真似して・・・

(前略)あなたは、兄弟の目にあるおが屑は見えるのに、なぜ自分の目の中の丸太に気づかないのか。
(重要な部分を「前略」にしたのですが,読者よ悟れ。くわばらくわばら聖パウロ

113 :無責任な名無しさん:2008/09/05(金) 16:49:04 ID:6tFhuxEl
Barlがおとなげないことかいてるなぁ。


115 :飲んだくれ弁護士:2008/09/05(金) 19:08:51 id:TI8iYq4W
>>113
貴様のような奴はBarl先生の魅力も人間の機微も所詮わからんのだ!

確かに見ようによっては大人げないとも取れるよ。しかし、時にはね、特に
自分が非常に大事にするものや信念の奥底に関わる事柄を踏まれた時、生の感情
なり素の自分を包み隠さずさらけだすことのどこが悪いんだよ(でもまあ今回の
記事は随分と冷静だけどね。Barl先生も大人になった?実は相当お怒りと思うが)。
貴様はロボットか?
それに、普段はアイロニーで軽く味付けしながら理論的かつユーモアあふれる文章で
記事を書いているBarl先生だけど、たまの大人げなさそうな記事も絵になるのは
Barl先生ならではこそなんだよ(魅力なき者がやると悲惨なものになるが)。
「何事もそつなく・無難に・リスクも負わず・計算ずくで」という優等生的ブログが
読みたけりゃ役所・役人の作った公式HPや社説でも読んどけ!!

とBarl先生のファン(しかし考え方は150度ぐらい違う)より大人げないコメントをする。


116 :無責任な名無しさん:2008/09/05(金) 19:17:16 id:z4YB/vJs
Barlのようなもの…。


ごめん…,言ってみたかったんだ…。


118 :無責任な名無しさん:2008/09/05(金) 19:55:47 ID:1G1YuzUs
裁判員は徴兵制復活への布石」って意見があるのを初めて知った。
テラワロス・・・というか反対派にも迷惑じゃないかな。