時効制度廃止

 時効制度廃止に関して,NHKニュース解説が,DNA型鑑定を解説していた。
 この件に関して,思い浮かんだことを以下解説する。

  DNA型鑑定を証拠資料として,いわゆる凶悪犯罪の有罪立証をするためには,
1 犯行現場から採取された犯人のDNA(例えば強姦致死罪被害者の膣内から採取された精液)
2 被疑者・被告人のDNA(例えば,口腔内から採取された細胞)
 とが一致していることを要する。

 これを立証するためには, 
1 DNA生体資料採取報告書
2 鑑定嘱託書 
3 鑑定書の3点セット

 の成立の真正,内容の正確性が立証されなければならない。

 これら書証の真正・正確性を弁護人が争った場合,書証の証拠能力・証拠価値は否定されて,書証作成者を法廷に呼ばなければ証拠能力・証拠価値は証明されないことになる。

 であるから,例えば,これらの書証が作成された80年後,強姦致死(訂正 強姦及び殺人)について公判請求されたとすると,書証作成者の記憶が曖昧になったり,同人が死んでしまっていることになるのは,見やすい道理である。
 したがって,時効廃止の刑訴法改正は,すべからく証拠法(なかんずく伝聞法則)の改正とセットでないといけない。

 念のため言っておくが,私はこのたびの時効制度撤廃立法・同施行には反対である。

 旧約聖書にも「逃れの街」というような制度があるのである。時効制度を撤廃すると,凶悪犯罪の被害者やその遺族は,は,いつまでも永遠に憎しみ・復讐感情から逃れるすべがなくなるのではないか? 時間の経過は,赦しの契機となるはずなのに・・・。



 NHKのニュースを見て,「法律施行の有効時期」の論点(司法試験で出るかもしれない)をふと思い出した。東京都千代田区内の官報売捌所で官報が入手可能になったときだっけ?