ローマ・カトリック教会に行って困ったこと

 私はルター派なので,ローマ・カトリック(元祖喧嘩別れ兄弟)には,比較的親近感を持っている。リタージーも大体同じだ。
 カトリック公会議等で典礼簡略化の話し合いが行われることもあるようだが,ルター派は統一的な組織ではないから,統一的な申し合わせもない。だから,カトリック以上に古いリタージーが温存されていることもある。
 うわさで聞いたのだが某ルター派の牧師は入堂行進で散香をしたらしい。

 「ミサ」についても,カトリックルター派は,その本質については,それほどの違った理解はしていない(といってよいと思う。マルチン・ルターは「ミサの誤用」という本を書いただけで,ミサそれ自体を否定していない)。

 そうはいっても,所用でカトリック教会に行って参ったことが一度だけある。
 
 平日に聖堂に行ったらお年を召した信徒がいらして,

 そこにご聖体が置いてあるから拝んでいきなさい

と言われた。なんか,礼拝堂分室みたいな小部屋(赤いランプがついている)にご聖体が安置されているらしいのだ。
 ルター派では聖体(ホスティア)を拝んだり高挙することは「カトリックの間違い」と教えられている。

 頑固そうなカトリックのばあちゃんが早く去ることを祈っていたのだが,私のことをじっと見ている。

 お前さんが聖体を拝むまでこの場を離れないぞ

と言う気迫がひしひしと背中に伝わってきた。

 気の弱い私は,ホスティアに向かって拍手を打った。

 カトリックのおばあさんは,満足げに,その場を去っていったのでほっとした。