5・1チャンネルオーディオ導入

しばらく衣装部屋・物置・書籍部屋にしてほとんど人の出入りがなかった一室を大掃除して,ヤマダ電機で5・1チャンネルオーディオセットを購入し,同室に設置した。投資額は,約16万円であった。我が自宅は,旧国道に面しており,2重サッシで防音し,隣家に迷惑を掛けることはないので,重低音サブウーファーにモノを言わせて,CDを聴いている。手始めは,モーツアルト編曲のメサイアであった。
テナーがどちらかというと重ための(ヘルデンテノール?)発声で,サブウーファーからも結構音が出ている。なかなか結構である。
あれこれと愛蔵CDで試してみた。例のメルゲンベルグ指揮ライブ録音「マタイ受難曲」も5・1に加工してくれる。それにしてもポルタメントや意味不明なルバートが多いなぁ。当時の切迫したヨーロッパ情勢は分かるが,もうちょっとザッハリッヒに指揮して欲しいよね。感情入れ込みすぎで,バッハの客観性がズタボロに崩れている。
伝説の
第39番 アリア「憐れみたまえ、我が神よ」
における聴衆のすすり泣きも良く聞こえた。
ペーター・シュライヤー指揮のマタイも聴いたが,フレージング(アゴーギグ?)を強調しすぎ。音大生向けの教則CDじゃないって言うの! ロ短調の「しかして聖書にあるとおり3日後によみがえり」,バスが大活躍するのだが,ああいうメリスマを一糸乱れず歌うというのは,神業です(自分もドーバーの楽譜で歌ってみましたが,とてもついて行けません。3連符が鮮やかな華を織りなしている)。

隣近所から苦情はないのだが,階下にいる配偶者から,「重低音が下階に響いて来てコップ等が振動している」と苦情が来た。どうせ労金のローンで購入した安普請の家なので,仕方がないけど,妻はファゴットコントラバスの重低音が嫌いなようである。配偶者双方とも音楽的訓練は常日頃怠っていないのだが,妻は,モーツァルトやバッハに含むところがあるらしく折々,モーツァルトやバッハをピアノで弾いては,「人間が書いた曲とは思えない。ほら,ここの転調変でしょう? 人間が持っている感情というものが感じられない」「マタイバスの導入曲のフレージング? タラ/ラリララリララ/ララ/ラリラ/ラーラリラー/ラーラリラ/ラーラーと解釈するのが相当でしょう。こんなへんてこなフレージングはバッハしか書かないわよ。ほんと捻くれているよね。」などと亭主の意に反する印象批評をしている。困ったものだ。