姉歯問題

私は,工業高校の建築科を卒業していて,「構造計算」の勉強もしたのだが−ラーメンとか安定静定とかフライングバットレスとか−,道を踏み外してしまい,弁護士稼業をやっている。○○工業高校レスリング部中興の祖なのだが,その辺の自慢話は折を見て書くこととする。
姉歯一級建築士の一連の問題をどうやって解決するのかは,人ごとながら(私が住んでいる地域では「姉歯物件」が数カ所あったが,幸い耐震強度に問題はなかった)心配である。
東京の腕利き「消費者弁護士」が対策弁護団を組むのだろうが,このたびの「姉歯問題」は消費者弁護士にとっても「未知の領域」だろう。消費者系弁護士が従来取り組んできた事件というのは,だいたいパターンが決まっている。それから,−先物被害を除いては−「訴額」が低い(数万円orzから数百万円レベル)。このたびの事件が訴訟になるとすれば「訴額」はお一人様数千万円,依頼者は少なくとも数百人ということになろう。ココ山岡事件以来の大型消費者事件である。

さて,どういう訴状を書けばいいのだろうか? 共同不法行為で「姉歯・建設業者・マンション売り主を訴える」というのが一つのストラテジーではあろう。しかし,これら被告三者は,それぞれ,支払能力に疑問がある。
住宅ローン金融会社(銀行? 住金?)に対して「債務不存在確認訴訟」を提起する。これもいい考えだと思うけど,「抗弁」が接続するのだろうか?
一番手堅いところは,建築確認を民間に丸投げした地方公共団体を被告にすることであろう(国家賠償)。地方公共団体が,支払不能になるということは,考えられない事態であるから。
ある政党の機関誌を読んでみたら,「官から民の弊害−くっきり」と書いてあった。まぁそういう切り口も一つの考えではある。
ここから,国鉄分割民営化(福知山線大事故)とか,民間車検業者のインチキ検査に話をつなげることはできるが,その辺は,後日を期す。

付記 「このたびの問題をギャーギャー言い出すと,景気に悪影響を及ぼす。」と自民党の武部(漢字表記不明)が言っていたが,いいじゃないの? 少なくとも,東証一部上場のゼネコンはこのたびの姉歯問題には関与していない。ハザマなんかは,マンション建設で手堅い仕事をしている。何しろ黒四ダム建設で命を張っていたのだから(中島みゆき歌プロジェクトX参照)・・・・。
ハザマはこないだ,50万円程度利益確保で利食い売りしたのだが,もう一回買ってみてもいいかなぁと思う。
 まぁ,ここ3−5日は,ゼネコン株は様子見だけどもその後は,買い場だと思う。