ライブドアショックの真相は株投機初心者の「信用取引」らしい

昨日の「ライブドアショック」は,比喩として言えば,「桃鉄15」の「ギーガボンビー」みたいなものであった。私自身,ライブドア(及び関連株)は保有していない。1部上場がほとんどで,いたずら半分で東証二部(丸紅インフォ)マザーズトーメンサイバービジネス)を保有している程度であった。そうはいっても今日一日で昨日まで含み益がでていた株が見る見るうちに棒下げし,含み損が発生してしまった。「とんとん拍子に上げている株(例えばアーバンコーポレーション・パシフィックマネジメント)」は軒並み10パーセントくらい下げた。
「食べ物屋(山崎製パン・モスフード・ソーダニッカ等々)」あたりは,それほど下げなかった様子(1−2パーセント前後)。
私の投資状況だが,「井筒屋」・「アイフル」・「高砂香料」を空売りしているので,総合的に見れば,それほどの損害は受けなかった。

これからは,株式投資に慣れていない人向けの解説です。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060117-00000014-tcb-biz

この日、日経平均株価は寄り付き直後に200円を超える下げ幅となった後は下げ渋る展開となり、前引け前にかけては前日比で上昇に転じる展開となった。しかし、ライブドア関連株が軒並み売り気配の状態となったことを受けて、証券会社がこうした銘柄の信用評価掛目をゼロにしたことが結果としてライブドア関連株の含み益拡大をテコにして他の銘柄に幅広い投資を行っていた個人投資家をして一斉に見切り売りに急がせる要因となったものと見られている。

このニューズを読み解くためには,そこそこの証券取引知識がないといけないので,当職が,以下わかりやすく解説しますです。

本日の後場における棒下げは証券取引ド素人の「信用取引」の問題だったようだ。
例えば,ライブドアの株(現物)を約500万円持っているとする。そうすると,ライブドアの株を担保にして約3倍の信用取引が出来る。ライブドアは,マザーズ上場という「海のものとも山のものとも知れない株」なので,株価の60%(前記の例では300万円)と担保価値が評価され(東証1/2部・ジャスダック上場株は80%),その3倍の信用枠(900万円)で信用取引が出来る。前記ニューズにいわゆる「テコ」(レバレッジ)というのは,「3倍信用枠」という意味なのだ。
ところが,各証券会社(どうもマネックスビーンズが言い出しっぺらしい)は,ライブドアの担保価値(信用評価掛け目)を「ゼロ」にしたらしいのだね(ライブドアの株は,数週間で「1円」になります」という予想を証券会社がしているということです)。
そうすると,証券会社から「追い込み」の電話が掛かってくる。「本日の午前中までに追い証を入れてください」という督促の電話だ。
前記のような信用売買をしている人を例に取ると,担保株(評価300万円)が「ゼロ評価」になったのだから,これ(のみ)を担保とした信用売買の「保証金維持率状況」はゼロパーセントになってしまうわけで,「保証金維持率状況が35%になるように現金−追い証−を入れてくれ。そうじゃないとあなたが当社に預け入れている現物株・信用売買株・社債・投信を明日の寄りつき一番で処分します。そのような状況に立ち至った場合,当証券会社とお客様との信頼関係は完全に失われてしまうので,以降の取引は出来ません。絶縁・破門処分になります」と言うことなのだ。そのような「ギーガボンビー的強制処分」を避けるためには,ライブドアの掛け目をゼロ評価した翌日午前中までに,315万円を証券会社に持っていかないといけない。315万円を持っていかないとどうなるかは,証券会社のウェッブサイトにも書いてないのでよく分からないが,証券会社職員が付け馬みたいにして顧客に張り付いて,サラ金巡りをするらしいのだ(あくまで噂なので信憑性は保証の限りでない)。あるいは,「被告(証券会社顧客)は原告(証券会社)に対して金315万円及び遅滞損害金を支払え」という訴訟をぶたれる。払えない人は,自己破産するほかなかろう。

昨年6月から日経平均は棒上げで,「証券取引初心者煽り本(『私は3ヶ月で1億円儲けた』みたいな糞本)」が書店で平積みになっていた。手ごろで,とんとん拍子に騰がっていて,売買単位が一株(500円前後。お年玉でライブドア株を10株買った小学生もいるみたい。私の長男ではないのだが・・・(笑))というのは「ライブドア」くらいのものだ。6月くらいから株式取引に手を染めた初心者投機家は,ライブドアの現物株を買い,更にこれを担保として信用売買をしていたのじゃないかしら?(いわゆる「二階建て」で現物の「ライブドア株」を担保にして信用取引で「ライブドア株」を買った人もいるかも知れない。詳細な計算は省略するが,損害は,2倍に広がる)。

このたびの「ライブドアショック」で「自己破産申請」や「追い証地獄」・「青木ヶ原樹海入り」に陥る人は数知れないと思う。まぁ,そういう具合で「初心者株投機家」は淘汰されるのであろう。