ライブドアガサ入れは,何故1・17だったのか?

ライブドアショックの2日目を迎えた。私の持ち株で値を上げたのは,アーバンコーポレーション(含み益発生)・アイフル空売り中なので騰がってもらうのは困る)だけであった。

東京地検が何故1月17日という日にガサ入れしたのか?」という点について,色々うがった見方が巷間で流布している。

例えば以下の記事。
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1641680/detail
17日は、阪神淡路大震災から11年が経過した日だったが、ライブドアへの強制捜査ヒューザー小嶋社長の証人喚問、宮崎勤最高裁判決と、三つの大きな報道が重なる結果にもなった。
なにゆえこの三つが重なるのか、裏で何かの糸が引かれるきな臭さを感じたのは私だけだろうか。結果、阪神淡路大震災に関することや、宮崎勤最高裁判決の報道は、一部のメディアによって簡略化された。代わりにライブドアや小嶋証人と、国会の茶番劇が躍り出た。

(脱線,上記記事の「結果」という接続詞?に違和感を覚える人は少なからずいるだろう。「その結果」なら分からなくはないが)
まぁ,結論を言えば,その辺に配慮したのじゃないかという憶測も出来る。理由は以下の2点である。

1 小うるさいメディアの追っかけ(特に司法記者)が上記事件の取材のため手薄になり,ガサ入れを嗅ぎつけられる可能性が相対的に低くなった。

2 メディアが上記各ニューズに紙幅・時間を費やし,相対的に「ライブドアガサ入れ」の記事の扱いが小さくなる→株式相場への悪影響が少しばかり低くなる。

そもそもガサ入れにかかる被疑事実は,数年前の事件であって,地検関係者は,遅くとも数ヶ月前(経済事犯で強制捜査をやるためには,1年以上内偵捜査を進めることも多い)から極秘捜査に着手していたことは間違いない。粗暴犯の現逮・緊逮等と異なり,「何が何でも今日・この時でないといけない」という訳じゃなかっただろう。むしろ,「いたずらな波風が立たないように」この日を選んだのじゃないかと思う(未確認だが,米国の取引所がお休みの時を狙ったという報道もあるらしい)。「証取監視委員会」の構成員も捜査に関与していたわけで,同構成員が格別の理由もなく,ことさらに「健全な投資家に迷惑を与える目的」を持ったとも考えがたいし,そのような効果が出来るだけ少ない日を選んだと考えるのが相当であろう。「株式市場に混乱を与える意図」があったとすれば,東証の取引の最中(午前8:20板寄せ,9:00〜11:00前場,午後0:05板寄せ,12:30〜3:00後場。ちなみに,明日以降しばらくの間,後場の開始時刻は,1:00になるらしい)にチンドン屋を引き連れて,ガサを入れたであろう。

令状を発布する裁判官の都合も考えたのじゃないかしら? この種の令状発布請求には,一件記録を裁判官に見てもらわなければならず,−恐らく,通常の令状請求事件の100倍以上の丁数であろう−複雑な経済事犯(しかも,恐らく共犯者関係の供述調書はない←リークされたらヤバイものね)を裁判官に理解してもらい,令状を発布してもらうには,土・日で裁判官が暇な折り,じっくり審査してもらう(検事も事実上裁判官と面談し事案の概要をレクチャーする)必要があったのじゃないかしら(かなり穿った見方ですけど)。
メールを保存しているサーバーも押さえたということだが,この種の物品は,「壊れ物・取扱注意」だし,コンピューターの専門家も手配しないといけない(事務官や検事にもパソオタはいるだろうけどやっぱり専門家に任せたのじゃないだろうか?)。

私も年に何度か,「仮差押・仮処分(保全事件)」刑事では,「保釈申請・準抗告」をやることがある。その際は,やっぱり裁判官のタイムスケジュールは考えるわね。年末年始や年度替わりや転勤シーズン・修習生研修旅行・夏期休廷期間などの時機は避ける(事務員さんが書記官室に郵券と収入印紙を納めに言ったら,「今,最高裁判事が訪問しているので後にしてください」と言われて,かなりむくれたいた)。

それから,中期的トレンド(笑)で重要なのは,元検事さんの落合弁護士がブログで書いているとおり,「転勤」の問題であろう。

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20060116#1137415708

検察庁の通常の人事異動は4月1日付けであり、3月末までで東京地検特捜部の陣容も大きく変わりますから、その前に、同委員会と合同で、一気に強制捜査をやってしまおうという流れである可能性が高いと思います。
一般的には、
1 関係場所の一斉捜索・差押
2 それほど間をおかずに、関係者の一斉取調べ
3 逮捕・勾留
(起訴・不起訴の見通しもつけつつ、証券取引等監視委員会による告発)
4 起訴・不起訴の決定(特捜部が身柄を取る以上、主要な被疑者は当然起訴される)

なるほど,上記「2−4」を考えれば,この時期がリミットかも知れない。特に,「ブツ読み(押収書類の解析)」再逮捕・再々逮捕ということを考えると,ぎりぎりまで待った感じもある。

ライブドア株を保持していた投資家は,誠にお気の毒様というほかないが,そのとばっちりで下げた株は,たぶん,1−2週間で含み損を解消するであろう。明日から,「空売り」か「押し目買い」しようかなという気持ちもあるが,何しろ,あと20%くらいで追い証になってしまうので,止めておく。
よい子の投資家の皆さんは,暫く死んだふりをするべし。