ライブドアショックは消費者問題ではないのか?

ライブドアショックで同業者のブログを読んでいるが,やっぱり,結構,傾向が現れていますね。
「刑事専門弁護士(刑事事件に強い弁護士くらいの意味)」でも生粋の弁護士一筋派(世間から「人権派」とか「左翼系」呼ばれることが多い)は特捜部のやり方に批判的意見が多い。企業法務関係の人も同様。検察官出身弁護士は,特捜部擁護に回っている。
私自身は,この言葉は嫌いなのだが,「人権派左翼刑事弁護士」に位置づけられるだろう。
ライブドア問題も結構発言してきたが,外の同業者のように「捜査のやり方の当否・実体法的見地からの批判」はほとんど書いていない。株式投機家としての意見しか書いていない。どうしてかというと,証取法を勉強してないから。

消費者保護系弁護士は,なぜか発言が少ない。この件は,立派な「消費者問題」だと思うけれど,何でだろう? 消費者系弁護士は,利減法とか消費者保護立法,マルチ商法等には詳しいし,先物取引の知識もあるだろうが,証取法とか会社法は専門外だろうし,何より自身で株式投機(あるいは投資)をしてないと,被害を身に染みて感じることは出来ないかも知れない(サラ金を利用したりマルチ商法を実践しなくても,消費者事件はやれるが・・・)。
今からライブドア株に手を出すような連中は,保護に値しないと思うけど,サプライズの日に株を保有していた人は,何とか救ってあげられないものかなぁ?
「現物株投げ売り組」,あるいは「保持組」はyahooで「損害賠償訴訟」と騒いでいるけど,株式会社は,有限責任だし,取締役の賠償能力もたかが知れている。第一最大の被害者は,フジテレビの訳で,同社が訴訟を起こして勝てば,資産のほとんどを同社が持っていくわけで,一般零細投機家は割り勘負けするだけであろう(この点で,ココ山岡霊感商法と違う)。
これから消費者問題で火がつくのは,「追い証組」である。「追い証組」は資産を失ったどころか,一夜にして債務超過になったわけで,サラ金に走ったりして,ますます負債をふくらませる可能性がある。
従前の免責審査においては,「株式投機」は「浪費」と認められ,免責不許可が原則であった。しかし,これだけネット取引が盛んとなり,日経平均もファンダメンタルの裏付けを持ちながら上昇していたのだから制度運用で何とか救えないだろうか? 個人再生で何とか救われるという人もいると思う。

金融機関・金融業者は弁護士からの受任通知で督促はピタリと止まるのだが,証券会社の「追い証督促」はたぶん,そういう通達はないだろう。

そのうち,日弁連レベルで,何かしら動くだろう。

ともかく,サラ金から借金して追い証を払ったり,博打的な投機をするのは,絶対に止めるべきだ。これは真剣な忠告である。