告訴状不受理・風邪・ピアノ発表会

Barl-Karth2006-03-15

風邪
3月12日,配偶者の主催するピアノ発表会のため,駐車場管理用務で約30分間屋外にいた。雪がちらちら舞っていた。スタインウェイは鍵盤のタッチが軽く高音も澄み切っていて音も良く飛ぶ。自宅のピアノとはかなり違う(どちらが良いというわけではないけど)。父母の皆さんが60人くらい来て,まずまずの盛況であったが長男は,挨拶をする場所を間違えたあげく,ピアノ椅子に座ると間髪を入れず演奏をし始め,弾き終えるとやはり間髪を入れず立ち上がり,舞台から去った。センスのない小学生は,「余韻」とか「間」という概念を理解できないようだ。絶対音感はあるのだが,音楽的センスは少しく疑問がある。
メリーさんの羊,ショパンの黒鍵練習曲,シューベルトの渋いソナタ等。スタインウェイでメリーさんの羊を弾くというのは,結構贅沢な話ではある。

翌13日,当地は大雪であった。高速道路で約40分の某支部まで行く予定だったが,運転中「30分遅刻見込み」ということが判明し,これを携帯電話で書記官に伝えたら「相手方弁護士が帰りました」とのことであった(詫び状を書かないといけない)。いずれにせよ,同支部管内の代用監獄在監の被疑者さんから私選の依頼があったので,接見を済ませる。とても長い表題の法律(弁選に罪名を書き入れたら3行になった)違反の被疑者さんであった。
同日の夜から,扁桃腺付近に違和感を感じるようになり,朝起きたら喉が痛く声も良くでない状態となった。
午後から修習生を同行して某支部で尋問。当事者は耳の遠い方で,仕方がないので当事者席の机の向こう側に立ち,いつもより大きな声で質問し,途中で咳をしたり,声帯が裏返ったりした。主尋問なのでさほどの緊張感はないが,反対尋問の立会・再主尋問は結構テンションが高くなる。
夕刻に帰ってみると,例の田舎署の刑事課長からの来電記録があった。喉の調子も悪いし,告訴状のやりとりについては書証を残さないといけないので,「この件に関しては,電話による交渉は一切お断りします。ご用の向きは,ファックスで文書連絡願います,あしからず」というファックスを送付した。そうしたら,またもや「告訴状をお返しします」と連絡があったので,以下の電報を打った(電報代金は1万円以上かかった。この種の文書はファックスより,電報の方がインパクトがある)。

警察庁長官
 漆間巌 殿
N県警察本部長
 警視監 勝浦敏行 殿
N警察M警察署長
 警視 長谷部正二 殿

警告書

 N県警察M警察署 刑事課長T(名不詳)から,当職が本年3月X日,同署に提出した告訴状と委任状をお返しする旨のファックス連絡があった。
 このような告訴状の不受理・返戻は,違法行為であり,万一,このような行為がなされた場合は,直ちに関係者を公務員職権濫用罪で告訴すると共に,国家賠償請求訴訟を提起するものである。
 上記のとおり,厳重に警告する。
平成18年3月14日
(住所省略)           
弁護士 OOOO
弁護士 Barl-Krth

その後,税金問題と刑事事件関係の相談を受け,7時ころから通例としている株価のチェックをした。市況の概説を読んでも持ち株のチャートを眺めても全然頭が働かない。声帯のみならず頭にまで風邪の悪影響が来たようである。自力で自家用車を運転するのは危険と感じ代行を呼んで帰った。1階の居間でうとうとし,ようやく気を取り直して株価をチェックし,指し値で売買の注文を入れる。
翌朝,板寄せの始まるころから,ボードをチェックし,指し値を訂正する。新日本建設が株式分割を発表していたので,指し値を上方に修正し売り抜けた。その他の持ち株もほぼ思惑どおりの値動きであった。頭は,はっきりしてきたが,声帯が相変わらずおかしい。
午前中,和解成立が1件(依頼者同行)。裁判官は,当方の声の異変に気づき「風邪ですか」と気遣う。先方代理人も大型マスクを着用しており,同様に「風邪ですか」と質問したら,「花粉症」とのことであった。15分くらい折衝し,双方の和解案の真ん中をとって和解が成立した。もう少し駆け引きをして気合いを入れるべきではなかったかと反省した。
その後は,来客予定もなく,懸案事項の起案をほぼ5時間かかって仕上げた。電話は7−8件あった。ハイCテナーのくまのプーさんとも電話で話をした。
「器物損壊の告訴を警察が渋っている」という電話があり,「『Barl弁護士にまかせている』といえばたぶん話はとおるよ。」とアドバイスした。電話による会話は,対面の会話と違い頭から声を出す。発声法としては,喉声より楽なのだが,やっぱりちゃんとした声が出ない。

思い出してみると,東響コーラスの出演オーディション(メサイア)の日も体調不良のため落ちてしまった。オーディション当日は模擬裁判で,異様にテンションの高い検事と対峙し,弁護団会議で議論をし,声の調子と音感を崩してしまったのであった。
風邪と音痴と躁鬱病(特に躁状態の人との会話)は伝染性があると痛感した。