最近の少年凶悪事件報道について

最近,少年による凶悪事件報道が目立つ。その際に代用監獄に赴いた弁護士−おそらく委員会派遣−が少年の留置場内における言動(元気か・しっかりと喋っていたか・反省の様子はあるか・頭は良さそうか・しっかり寝ていて朝食を食べていた様子か等々)を署に張り付いたプレスにベラベラ話す。
これはとても良くないことのように思われる。
朝起きるたびに「少年事件」の報道ばかりであり,どれがどれだったか良く覚えていない。

捜査段階においては,検察・警察はもちろん,弁護士も「ノーコメント」で貫き通すべきであろう。被疑者(少年)の供述・心情は日々移ろいゆく。
当番弁護士の言動は,公判段階において,ことごとく検察官の不利益証拠に使われる。すなわち,例示すれば以下のとおりである。

検察官「被告人は捜査段階において公訴事実を否認していた(曖昧な供述に終始していた)ものであり,公判段階における自白は見せかけの反省に過ぎない。しかも捜査段階においては,反省の情もなく惰眠を貪った挙げ句朝食を2人前平らげていたのである←証拠は当番弁護士のインタビュービデオ」

検察官「被告人は捜査段階において事実を全面的に自白していたところ,公判段階において,突如として殺意を否認したりアリバイを主張したりする。しかし検証物(捜査段階における当番弁護士のインタビュー)によれば,被告人は捜査段階においては公訴事実を素直に認めているのである。この期に及んでの否認は,信用性は皆無である。被告人の弁解は不合理極まりなく,反省の情は微塵もない。」

どちらに転んでも,弁護人の供述は公判段階において有利にならない。

私は,毎月並行して3−4件の私選弁護を受任している。しかし「ある事件を受任しているかどうか」それ自体,秘密にしている。