株と下部構造(テクニカル分析の哲学的基礎)

昨日の原稿で,明日からは「買い場」と書いた。言い訳がましいが,<明日は騰がる>とは書いていない。だから,私の昨日の予想が「当たり」か「外れか」は明日の相場が始まらないと分からない。占い師みたいな言い訳で我ながら恥ずかしい。
本日の下げ相場は,いろんな証券関係サイトで分析がされているが,結局「騰がるかも知れないし,下がるかも知れない」見たいな歯切れの悪いものであった。証券会社の分析は,やはり「お客に買いを勧める」書き方が多く(で,自己売買部門で空売りする)例えば,「ボリンジャーバンドのσを割ったからリバウンドがねらえる。」とある。日経225の日足にボリンジャーバンドを当ててみたところ,いわゆるライブドアショックでも−2σを割っていない。ざっと見ると,2005年3月14日にこの現象が起きている。その後の2営業日は窓を開けて下げ,5営業日目にようやくバンドの内側−1に収まっている。2004年8月10日も−2を下回っているが,その後2営業日は下げ,2004年7月6日の同現象においては,翌日にリバウンドは見られない。こうしてみると,ボリンジャーバンドを元にした分析は,やっぱり占いみたいなもので当てにできない(少なくとも日経225平均の日足分析には向かない)。「ダイバージェンス」という言葉もあるしね。まぁ,あと2−3営業日(金曜日)まで,窓下げ暴落に我慢できる人は買えばよいと思う。私としては,ちょっと怖くて買えないね(というより,担保余力がない)。およそ日本男児たるもの,外人(就中ドイツ系)の「売り売り」に竹槍戦術で抵抗し「日本人なら(差別的なので撤回)すべからく世界に冠たる一目均衡表で,「雲抜け」まで「買い」を待つべきだろう。
特にテクニカル分析というのは,「経験論」・「帰納法」をベースにしたものが多い。で,少し程度の高い入門書には,「過去がこうだったからといって,未来がこうだとは言えない」ということが書いてある。それ故「西から昇ったお日様が東へ沈む」可能性は,否定しきれない。この現象が「あり得ないはずだ」ということを説明するためには,仮説演繹とかカント的な意味での理性批判が必要なのだ。馬鹿田大学のヴィンコデルバルト教授はそういう論文を書いている。そういう研究をしている哲学教授やアナリストやファンドマネジャーは世界中に結構いるらしい。

法哲学や哲学をやっていた弁護士(株もやるらしい)と「ポパーは株をやったか」とか「ポッペリアンはテクニカル分析を信用して良いか」という高尚な馬鹿話をやった。反証可能性のあるテクニカル分析ってあるのだろうか?
そういえば,カール・マルクスは株で大もうけしたことがあるそうだ。そうするとやっぱりファンダメンタルは大事なのかも知れない。
誰か,「テクニカル分析の哲学的批判」という本を書いてくれないかな。