法テラスと刑事弁護(序章)

5月27日〜28日は日本刑法学会,6月2日〜3日は,日弁連刑弁センター熱海合宿(代理出席)であった。明日は東京出張(刑事弁護の事前打ち合わせと民事控訴事件)。
金にならないこの種のイベントで日程は押せ押せとなり,在宅刑事事件(私選)の期日を変更してもらった。こういう日程なので,<「宗教と社会」学会>(6月3−4日 同志社大学)は欠席した。
熱海に出発する当日,修習生の模擬裁判を傍聴し,批評文を地裁刑事部に送っておいた。「日本刑法学会」とか「<宗教と社会>学会」というのは,文字どおり「学問」のため(あるいは恩師や知り合いの学者と一杯飲んで馬鹿話するため)出向くのであって,足取りは軽い。
しかし,「刑弁センター委員会」とか「可視化委員会(最近<本部>になったらしい)」というのは,日弁連が眼下に直面している諸問題について討議・採決する場なので,はっきり言って余り楽しくないし,持病(メイラックス服用)が悪化する。まぁ,旧知の同業者と酒飲んで馬鹿話ができるのでその意味では楽しいのだが・・・。

「刑弁センター開催中」に「大事件が起きる」ということが数年前にあった。大阪方面の同業者(高名な大先輩3−4人)と和室でビールを飲みながらテレビニュースを見ていたら,「大阪府池田小学校における大量殺人事件」が報道された。何しろ地元刑弁委員会の主力メンバーは熱海でビールを飲み始めている。大阪に待機していて,しかもこのような凶悪事件に対処できる人(しかもこのような時間に連絡が取れ,酒飲んでいない人)がどれくらいいるだろうか?
同室した大阪の大物刑事弁護士は方々に電話(ケータイ)を入れ始めた。何とか委員会派遣弁護士が確保できた様子(良く分からない)。某大阪の弁護士は,「この時期に熱海出張で良かった」と胸をなで下ろしていた。

ところが,今年の刑弁センター委員会でも,またしても刑事弁護士が冷や汗を流すような全国ニュースが報道された。例の「共謀罪」の国会審議であった。前日に「共謀罪廃案へ」というニュースを聞いており,みんな安心していたのだが,6月2日夕方の全国ニュースで「国会審議混迷へ。自民党民主党の議案をどうした」と言うニュースが報道が流されていた。
私は,大物刑事弁護士に「酒飲んでる場合じゃないですよ。U先生。これから永田町まで行って国会を火の海にしましょう」とか述べ(この発言は「共謀罪」になるかも知れない)結構パニック状態になった。
だいたい日本刑法学会が京都で開催されているころとか,刑弁センターメンバーが熱海で温泉に入ってビールを飲んでいるころとか,そういう時機を見計らって国会が動くらしいのだ。国会に対して影響力を持っているB先生は某重大事件を請けたらしいし・・・。

本年度の刑弁委員会懇親会ではやはり「ホセ・ヤギ事件(広島)」の件が話題になった。この事件より数年前,バスジャック少年非行事件(2チャンネルに犯行予告)の弁護人がメディア向けに「ノーコメント」を貫き通したところ,いろんなバッシングを受け,それを反省材料として,ホセ事件弁護人はディスクロージャーをしたのだそうだ(それ以上の深い話はさすがに書けない)。

日弁連刑弁センターでの審議事項(本題 呆テラス問題)は,明後日くらいに各予定である。