グレン・グールドと証人尋問

グレン・グールドという人は,ピアノの演奏の前に椅子の高低の調整に時間を費やしたという。たぶん神経症か,極度の神経質なのだろう。リサイタルのお客さんは,グールドの椅子の調整でくたびれて帰ってしまったという話を聞いたことがある


http://www5a.biglobe.ne.jp/~outfocus/age%20list/age-gould.htm

http://www.youtube.com/watch?v=hlAg-yL-FfY&mode=related&search=


証人尋問のため,弁護人・代理人席に座ることがあるのだが,やはり,椅子の高低とか,がたつきとかは,気になってしまう。立ったり座ったり,腕組みをしたり証人を恫喝したりするときに椅子の高さが机の高さとマッチしているか?

今度,裁判所書記官宛に「愛用の椅子法廷持ち込み許可願い(ベーゼンドルファー社製)」を出してみよう。ともかく法廷の椅子は,その造りがおおざっぱで,高低調整も上手くいかない

 証人尋問(特に反対尋問)では,そういう問題で調子を崩して,ガタガタになることが多い。
弁護人(代理人)用の机も同様である。「ドーンと机を叩いて−異議−と起立した場合,机が揺れたりしないだろうか?」と言うような,普通の神経の弁護士にとってはどうでも良いことを入念にチェックしてしまう。チェックすると,右側に圧力を加えるとガタガタしたりするので,書記官に善処を求めることもある。

このようなことをあれこれ考えてみると,芸術家と法律家は,感性的な面や道具の調子等に気を遣うなどの点で共通性があるかも知れない。

それにしても,東京交響楽団メサイアオーディションの数時間前,極めてテンションの高いM検事と論戦し,(模擬裁判なのだが)そのおかげで,聴覚神経と発声機能を崩し,オーディションに落ちてしまった恨みは一生忘れない(シンス バイ マン ケイム デースのピッチが完全に狂った)。