新潟県長岡区検察庁検察事務官による聴取書偽造事件

上記事件は,当職(弁護士Barl-Karth)が,原告代理人を務めていた。
色々と情報を検索したが,下記の記事が一番よく書けていると思った。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/niigata/news004.htm
重傷被害者の電話聴取書ねつ造
 見附市で2002年に発生した重傷交通事故を担当した長岡区検の男性検察事務官(52)が、被害者の同市の男性(75)から聴取せずに虚偽の電話聴取書をねつ造していた問題で、適正処罰請求権などが侵害され精神的苦痛を受けたとして男性が国に慰謝料など805万円の損害賠償を求めていた訴訟の判決が31日、新潟地裁長岡支部であった。

 北村史雄裁判長は適正処罰請求権などの侵害は否定したものの、「事務官の電話聴取書作成・行使は犯罪行為。刑事事件の公訴を担う検察官の事務を取り扱う検察事務官が故意に犯罪行為を行うことで、被害者の適正な捜査への信頼、期待は裏切られた」などとして、国に慰謝料など5万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は02年9月、自転車に乗っていて乗用車にはねられ重傷を負った。しかし、事故を担当した事務官は男性から一切聴取せず、加害者や男性の妻の話を元に、けがの回復具合や処罰感情を記載。さらに発信者に男性の氏名を勝手に記入し、虚偽の電話聴取書を作成していた。

 新潟地検は05年9月、事務官を減給3か月・10分の1の懲戒処分としたが、虚偽公文書作成・同行使罪の公訴については起訴猶予とした。男性は06年10月、起訴猶予処分を不当として新潟検察審査会に不服を申し立てた。

 裁判で国側は「事務官の処分や公表により被害者の精神的苦痛は回復された」と賠償義務を否定したが、判決は「氏名や虚偽の発言内容が犯罪行為に用いられるなどした不快感は回復されない」と国の主張を退けた。

 原告側は「主張が一部認められたが、金額面では複雑な気分。事務官に厳しい処分を」と訴えた。新潟地検は「改めて関係者及び国民のみなさまに深くおわびする。今後、判決内容を詳細に検討し、関係機関とよく相談した上で適切に対応したい」としている。

(2007年2月1日 読売新聞)


この事件については,判決要旨・判決正本(写し)を入手したので,OCRで活字化して,このブログで公表していく予定である。適正処罰請求権とか被害感情伝達権とか結構プログレッシブな理論構成で主張を構築したのだが,結局,原告代理人も明確に主張できなかった「人格権侵害」で勝たせてもらえた(こういうのを俗に「判決釈明」というのだろう)

国は,昨日現在,控訴していない様子。