「犯罪被害者と刑事手続」 2 (雑談)

 分科会終了後,参加者と雑談した。雑談というのは仲間内でやるものなので,自ずから「刑事弁護系の人」が多くなる(ミランダの会会員とか,日弁連刑弁センター委員とか)。したがって,分科会への評価は,自ずから「辛口」になったのも当然である。「辛口」というのは控えめな評価で,実際のところ「ズタボロ」であった。

(休憩中)
Barl 「あのおばさん,刺激的だな。一発言ってやらないと」
Beatniks 「Barlさんが一発やれば言えばいいよ」

(終了後)
「この分科会は,いったい何なんだ」
「ま,メンバーが全員立法にかかわっているから・・・」
「(発言者中)まともなのは,村岡啓一(一橋)と三島聡(大阪市大)だけだね」
「村岡さんは『損害賠償命令』から質問したのだが,それでは切り口が矮小化されてしまう。」 「だよね。」
「<損害賠償命令>にしても<被害者参加>にしても,対象事件は,被害者は単なる<処罰請求心>でなく,<復讐心>をもちたくなる事件だ。そこに注意しないといけない。」
「<損害賠償命令申立?> 全然役に立たない。この手続が奏功する事件は,たいてい刑事手続の中で示談が成立している筈。」
「被害者に質問・尋問させると<遠山の金さん>みたいなことになる。<証人>が尋問するのは変だ。<このお腹の傷が目に入らぬか>とか」
「民事ではそういうこともあるけど,何か?」
「<情状関連事実の主張立証>は,<訴因(罪体)の主張立証>と本質は同じなので,情状に関して被害者に主張・立証権を与えるのは,おかしい」
等々。

鯰越鎰弘(新潟大学)は,「損害賠償命令は役に立たない」という点については,私見と同旨であったが,「犯罪被害者を刑事手続に参加させる」ことには賛成らしい。
Barl  「国家による刑罰権独占,国家の代理人・刑罰請求権者としての検察官が,刑事訴訟法における二局構造の基礎にある。」
鯰   「国家刑罰権の基礎はどこにあるのだ。社会契約論から考えれば,市民(被害者)が国家に刑罰権を信託したわけだろ。」
Barl  「先生は,刑法の私法的基礎付けを・私法と公法との峻別の否定を考えておられるのか。」
鯰   「俺の考えの,どこがおかしいのか?」