もう「上申書」なんて書かないからな!

平成19年(?)第XX号 
申立人 生活大変

申入書
平成19年 月 日
N違法裁判所 破産再生係 御中

申立人代理人 弁護士 Barl−Karth 

 上記XX事件について,下記のとおり申し入れます。



 本事件について,裁判所書記官を通じて「反省文」の提出を求められましたが,次の理由から,再考を求めるものです。

1 「反省文」の提出には,破産法上その他,何らの法令上の根拠もないと思われます。また,ことに本件は典型的な生活苦による自己破産であり,「反省」を文書で求めるなど,行き過ぎであると思われます。
確かに,申立人は,返せない金を借りて債権者に迷惑を掛けたものですが,「借りた金は返すべき。約束は履行すべき。履行できない約束はするべからず。約束を履行できなかったら,反省・謝罪すべし」というような自然法的道徳律を国家権力が強制するのは,近代国家の理念に合致せず,いかがなものかと思われます。
2 国家権力が私人に対して「反省」を強制するがごとき態度は,憲法上の思想良心に反するものと思われます。
3 本件では,審尋の際,反省をしているか否かの質問等は一切ありませんでした。にもかかわらず,審尋後に「反省文」の提出を求められると,申立人に無用な負担を掛けるばかりですし,事務処理上の負担も大きいものです。
4 この機会に申し上げますが,近時,破産に関する事務連絡や裁判所の指示には,首をひねるしかないものが少なくありません。
 例えば,破産申立事件で「自動車保険証(本人ではなく配偶者のもの)」の提出を求められることがありますが,自動車保険が資産隠しに利用されたり,解約返戻金が見込まれるなどということは,およそあり得ない話です。
 また,住宅ローンについて,申立人が連帯保証人でないことの疎明を求められることもありますが,「ないことの証明」など不可能を強いるに等しいものであり(「申立人は,住宅ローンの連帯証人でないことを証明する」などという文書を金融機関が発行するとも思えません),裁判所の考え方は,極めて疑問です。申立人自身,銀行にどのように説明してローン契約写しの交付を求めたらよいのかと,困惑することもあるのです。
裁判所書記官のご苦労も理解しますが,申立人側の事務処理の労力,申立人本人の負担(ほとんどの依頼者は日給制や時給制で働いており,裁判所に出頭したり弁護士と打ち合わせをしたりすることには,経済的損失が伴うのです)に配慮していただきたいと考えます。
6 結論として,本件について,反省文を提出することは,お断りいたしますので,ご了承願います。
 なお,この申し入れに関して指示や反論等があれば,文書でお願いします。