従来の弁護人の仕事より難しくなるのか?

 格段に難しい。色々な縛りが出てくるから。「争点明示義務」があるといわれているが,被告人が接見のたびに言い分をころころ変えたら,争点明示など出来るわけがない。従来の刑事手続では,争点をぼかしながら,公判ごとに争点を提示していくというやり方がある程度許されていたから,格段にやり難い。「後出し証拠禁止」も弁護人の手足を縛る。
 公判では「オーラルバトル能力」「オーラルコミュニケーション能力」が求められる。しかし,そういう戦闘能力がある弁護士がどれくらいいいるかというと,実は少ない。これらの戦闘のためには高度の学力が必要だ。変な言い方だが「学力が筋肉化」してないと使い物にならない。分かるだろうか?
 たとえば「伝聞法則」を完全に理解し条文が頭の中に入っていないと,法廷における戦闘に勝てない。そういう点から見ると,最近の若手法律家の学力低下は,遺憾である-伝聞の基礎的考察が全然出来ていない-。