被告人の利益

 裁判員裁判が実施されると従来の裁判より「有罪・無罪」「量刑」でブレが出てくる。だから,弁護人の力量によって,この点が左右されることが多くなる。
 じゃぁ,腕の良い刑事弁護人を依頼できるかというと,はっきり言って,貧困層には無理だ。
 私は,整理手続を経る事件,無罪を真剣に争う事件(これまでの成果は完全無罪1件・弁護人5名着手金報酬合計1000万円程度,一部無罪−輸入罪から所持罪へ認定落ち−1件 弁護人3名 高裁で2名,着手金報酬合計数百万円),嫌疑不十分で落とす事件(捜査段階の弁護人3名・通訳人2名・手数料通訳人込み120万円,ぎりぎりで執行猶予をねらう事件など場数を踏んでいるが,複数の弁護人を選任し,100万円以上の着手金を頂いている事件が年に数件ある。これくらいもらわないと,事務所経営を維持できない。
 裁判員裁判が実施されると,現在の傾向はより助長されるだろう。「有能な代打」を雇うには金がかかる。裁判員裁判は,賭場みたいなもので,成果を得るためには「有能な代打」が必要なわけだ。貧乏人は博打をしても勝てない。要するに「判決を金で買う」みたいな話になるかも知れない。なんか寒いね。