過払いの訴状

 うちの事務所でも,サラ金相手に過払い金返還請求の訴訟をだすことがたまにある。事務所の経営基盤を過払いに頼るのは良くないし,こういう仕事ばかりしていると,弁護士としてのスピリットが鈍磨するので,なるべく受けないようにはしている。
 過払いの訴状というのは,定型文言に,数字を流し込めば良いだけなので,訴状は事務員さんに作ってもらい,弁護士は,点検するだけ。
 そういう感じで定型的な訴状を出したら,書記官を通じて,当地裁に新任の裁判官(部総括)から指導があった。以下の一文を入れて欲しいというのだ。
 被告は悪意の受益者であるから,利息金の発生日は,不当利得の発生した当日である(大判昭和2年12月26日)が,計算の便宜上原告が最後の弁済をした日の翌日を付帯請求の起算日とする。
 確かに裁判官指摘のとおりだ。「遅滞損害金」でなく「利息金」という点にもこだわりを感じる。この点は,随分昔岡口裁判官の〔ボ〕で触れていた。

http://d.hatena.ne.jp/okaguchik/20070509/p9

 同裁判官からは,「利限法計算書は書証でなく,訴状添付書類として欲しい」との要請もあった(うちの事務所では,今まで「計算結果は甲○号証のとおりである」で通していた)。この指摘も確かに正しい。今度から,敬意を込めて「こだわりの部長判事」と呼ぶことにしよう。

 同裁判官は,別事件の証人尋問で,証人に対し,「○○の建物がどこにあるかなんて,今時インターネットで簡単に調べられるんじゃありませんか」と尋問していた(証人は60過ぎの人で「インターネットはやれません」と答えていた)。どうもこの裁判官は,インターネットのヘビーユーザーのような気がする。