初心忘るるべからず

以下は,新潟県弁護士会のX先生の講演録をタッチタイピングしたものです。正月ぼけの折,改めて読み返してみましたが,すべからく味わうべき言葉が満載されています。
「ここだけの話」は省略します。保守系・企業系の先輩弁護士です。どちらかというと「憎まれ役」の先生です。

X先生講演会

親兄弟から見放され,全世界を敵に回して戦うも覚悟。これが弁護士の心意気

事件処理の心構え。
相談を受けるところから始まる。
相談者は,何かの不満がある。どうしてもらいたいのか?
依頼者が話していることを構成要件(請求原因事実)・抗弁の枠組みで話を聞く。
背後にある人間の事実関係が大事。

請求の基礎 兼子一の定義

事件の筋 裁判官も弁護士もこの言葉を使わない。話を聞いている中で分かってくる。何となく背景が分かる。
聞いて「なるほどもっともだ」と分かる。
依頼者の利益 相手方の利益を踏みにじって,何が正当な利益だ。

裁判官 法律要件主義 しかし,それ以前の人間の生活が大事だ。

筋 具体的妥当性
法律要件 法的安定性

人間としての生活の背景 どうやって生きていくのか? 生きていかなければならないのか?

相談を受けると,相談者の良くないことが見えてくる。
弁護士を騙そうとする人。著名人もいる。昔は「筋悪事件依頼 著名人リスト」が後輩弁護士に回されていた。
新人弁護士は,おだてられる。金がない弁護士 若い人を狙ってくる。おだてられる。

お金 相談のたびに5万10万を支払う。そういうのにはまると,「 お金で何でもやる。悪いやつの使い走り。」みたいな弁護士に落ちぶれてしまう。

依頼者は,弁護士に対して,最初から嘘をつくのでなく,「この訴訟に勝ちたい」と思ってついつい嘘の話をしてしまう。都合の悪いことはいわない。人間だからこれは仕方がない。繰り返して聞かないといけない。相談者の話に納得がいかない場合は危険。

花火が上がっているのに,建物収去 途中でつっかえる(タッチタイピングしたのだが,ちょっと思い出せない。花火大会の最中に受けた相談の話みたい)主張ができなくなる。
コンプライアンスがないとふらふらする。依頼者の「弱さ」に荷担すると,依頼者にも悪い(パターナリズム)?。そういう場合は,敗戦処理

ものの見方。立場によって見え方が違う。依頼者は一面的にものをみる。千円札 千円札は2次元だが,たばこの箱は多面体。だから立場(立っている場)で見え方が4面も5面もある。

手形 所持人と受取人同一 融通手形。
転々流通 悪い手形もある。

収賄 同じ留置所で勾留 (この点は,「ここだけの話」なので省略)。

裁判官は,「この判決は珠玉の真実だ」と述べたが,神様が怒る。「珠玉の真実」は,神様しか知らない。

「弁護士倫理」はひっきょう「お金の倫理」に帰着する。依頼者は自分の弱点をさらけ出す。弁護士が依頼者の弱みにつけ込んでお金を取る。そんなことをやってはいけない。弁護士としての自覚と人生観の問題だ。

弁護士は秘密を守る。マネロン規制法は,「官への密告」を弁護士に義務づけているが,とんでもないことだ。そんなことをすれば,「警察国家」みたいになってしまう。

 人間の逃げ場,最後に行き着く先が弁護士。それができなくなれば,弁護士制度が成り立たない。

最近は何もかもおかしい(日弁連のあり方。)。

依頼者の身分を確かめるなどという筋合いではないはず(マネロン)。

刑事事件 弁護の必要性

団藤 新刑事訴訟法綱要 法律制度における正当な利益。
東京で弁護士をしていたころ,上告事件の弁護を結構やった。死刑上告事件 上告趣意書 上告の理由はないように思えるが,「たとえ全世界を敵に回しても」という心意気で,上告趣意書を仕上げないといけない。


「お金は貯めるものではない」止めどなくお金を貯め出すとどうなるか。お金を貯めること自体が目的になってしまう(お金中毒)。電気を止められた老婆が数億円貯め込んでいた話。

いくらお金を貯めたかでなく。一生の間にどれだけ多くのお金を使ったかが問題(注記 X先生は粋な遊びがお好きらしい。当職も修習生時代おつきあいさせていただきました。芸妓の舞を愛でる等)。

 地球がいつまでもあると思うのは間違い。太陽がだんだん膨張する。30億年くらいで地球は太陽に飲み込まれる。

報酬
第1東京弁護士会 報酬 契約に基づく お布施論 (中坊公平?)

裁判員 公判前整理手続 こんな制度はとんでもない。

権力におもねらず財をむさぼらず。

無料法律相談
無料事件で事件を引き受けてはいけない。セカンドオピニオンを受ける機会を確保しないといけない。 

法廷弁護技術
反対尋問
塗り壁 主尋問で聞かれなかったことを反対尋問で聞く。(X先生は確かに反対尋問がお上手)。

(依頼者との打ち合わせ)分からないところは,依頼者に不利益に答えてごらん(RPG)。

失敗談
弁護士は自慢話しかしない。

刑事事件記録 「情状」と書いてあったので,読み飛ばしたら,大変なことになった。

 人類は何のために存在しているのか,自分は何のために生きているのか。自分はなぜ生きているのか。
 般若心経 唱えたり書いたりして御利益があるのか(良く読んでこそ理解でき功徳がある)。

紛争防止 人類愛 人間愛

これからの若手に期待すること

 弁護士である以前に人間である。
 司法改革 非道い
 国家の司法権と弁護士の関係
 弁護をするのは民間人,これが一番大事。明治時代の代言人時代から,権力から独立しようとした。
S24年6月に日弁連設立。自治権・監督権 資格審査会 綱紀懲戒委員会
法テラス 日弁連執行部の頭はどうなっている?。我々の先輩をどう思っている?我慢ができない。とんでもない話。綱紀委員会 懲戒委員会 資格審査会 本来は「総会決議」とされている。「常議員会一任」は良くない。

 裁判員 集中審理で何ができるか? 検察の証拠の一部を出してきて何ができるか?
 弁護士に調査権を!!(大先生の持論らしい)
 これは糾問手続で,弁護人なんかいらない。

 (内輪の話は中略)
負け筋の事件
 紛争は縮小の方向に持っていく。弁護士の人格としての信頼。これが依頼者との関係維持で大事。

 相手方がこういう主張をしてきたらどうするのですか? そういう話をして納得してくれるか? 納得しなかったら仕方がない。そういう依頼者は,辞任するしかない。