足利事件は国会で取り上げるべき。

 足利事件に関し,再審開始決定審あるいは再審法廷において,冤罪防止の観点から,真相解明を図るべきだという論調が強い。しかし,再審開始決定審は,弁護人らのこの要求に応えず,再審法廷も同様の見込みらしい。
 この問題は,ボ2でも取り上げられており,「国会で取り上げてもらいましょう。証人喚問でも何でもやったらどうでしょうか。」とのコメントがあった。
http://d.hatena.ne.jp/bo2neta/20090624
 私もその意見に賛成だ。再審法廷で,当時の捜査官や弁護人裁判官を証人尋問をするのはいかにも無理筋だし,法廷のやりとりを中継するわけにも行かないだろう。
 冤罪防止というのは,人権尊重という大切な問題なのだから,可視化法案も上程されている折,国会で取り上げる方がふさわしいし,「国民に開かれた民主的な司法」といういわゆる「司法改革」のスローガンにも沿うものだろう。国会(各院の法務委員会)であれば,テレビカメラも入るし,より充実した真相解明が期待できる。
 これと似たような問題が生じたのは,憲法学習者なら誰でも知っている浦和充子事件である。詳細は,下記のURLを参照

http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~tamura/urawajikenn.htm

これを見てもらえば分かるように,国会と最高裁判所が世紀の大喧嘩をしている。

 私が期待しているのは,国会における真相究明もあるのだが,今の最高裁に国会と大喧嘩をするほどの根性があるかどうか,竹崎長官が国会に対してどのように対応するか見てみたいという点にもある。恐らく最高裁は,右往左往するだろう。「開かれた司法」だの「司法の国民的基盤」などともっともらしいことを言っているわけだから,国会の国政調査に対して消極姿勢を取るのは,矛盾した態度であろう。そういう姿勢を取れば,国会からもマスメディアからも国民からも大顰蹙を買うに違いない。
 浦和事件の場合は,「刑が軽すぎるのじゃないか」という点に国勢調査の趣旨があった。しかし,今回は浦和事件と違い,冤罪防止・人権擁護,更に言えば「開かれた司法」「司法の国民的基盤」に直結する問題であり,最高裁も喧嘩の大義名分が建てにくいだろう。
 竹崎博允長官は,この難局をどう切り抜けるだろうか?
 早速,知り合いの参議院議員(法務委員会)に提案してみよう。