「消費者に選択眼があること。選択の自由があること」

 「あそこの八百屋は安くておいしい」「どこそこの理髪店はへたくそ」「あそこのクラブは美人ホステスが多い」等々消費者であれば,選択眼を持つ。「商品が悪かったら別の店に行く」という「選択の自由」を消費者はもっている。
 しかし,「弁護士にサービスを求める」などという事態は,一般庶民にとって一生に何度もない体験だろう。リンゴを買ったり,理髪店に行ったり飲み屋に行くというのは,日常茶飯事のわけだが,弁護士事務所にサービスを依頼するというのは,そういうものではない。だから,消費者にとって「依頼している弁護士が良いサービスを供給しているか。供給してくれそうか。ぼったくっていないか」という判別はつきにくい。
 「選択の自由」もない。「どこそこの弁護士さんは,サービスがよい。あそこの弁護士さんは愛想が悪い上料金が高く仕事もトロい」という情報はほとんど流通していない。「ここの弁護士さんは,サービスが悪かったから今度から別の弁護士さんを利用しよう」というわけにもいかない。